東京・四ツ谷にあるNPO法人・高木仁三郞市民科学基金。2000年に亡くなった在野の反原発研究者、高木仁三郞氏の遺志を受け継ぎ、市民の視点から環境破壊や安全性を監視する「市民科学者」を支援する。01年設立の団体だ。福島第一原発事故の内部被曝の影響に関する研究など、1口100万円を基本に、年間1000万円の予算枠で助成を行っている。
基金の元手は、高木氏の遺産3000万円。11年度末までに2.89億円とほぼ3億円近い寄付を集めた。これまでの助成額は合計1.33億円。小規模の基金としては、健闘しているといえる。
年間700人が寄付
「約3000人にダイレクトメール(DM)を出しているが、年間700人ほどが寄付をしてくれる。通常、レスポンス率は数%程度と言われ、これはかなり高い数値だと思う」。事務局の菅波完氏は語る。
もっとも、高木基金も当初から順風満帆だったわけではない。高木氏の亡くなった当時に寄付を募り、当初、集まった金額は遺産3000万円と合わせた8000万円。一方で、年間の助成枠1000万円に、事務所の家賃、光熱費、菅波氏の給与などのNPO法人としての年間管理費500万円を加えると、毎年1500万円の支出がある。
ところが、実は活動開始からほどなく、寄付や会費などの収入は年間で600万~800万円ほどしか集まらなくなった。「銀行口座の残高が、1000万円単位でみるみる減っていった」(菅波氏)。
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