自己発信するアムラー世代が、「ママ」に
――そんな中でできた『mamagirl』。これまでのママ向け雑誌との違い、創刊のきっかけはなんだったのでしょうか。
小倉優子さん、東原亜希さん、梨花さんのような、女の子のお手本になってきたような有名人が、ここ数年でどんどんママになったことです。彼女たちを取り上げられる雑誌がないな、と感じていました。
考えてみると、ママ向けファッション誌といえば、『VERY』のようなセレブ系と、『I Love mama』のようなギャル系のもので、その中間に当たる、いちばん多いはずの層に向けた雑誌がありませんでした。服のテイストも、セレブだとちょっと大人っぽすぎるし、ギャルというのも若すぎてついていけないと。
――確かに、普通のファッション誌にはいろいろなテイストがありますし、ママになって好みが一気に変わるわけではありませんよね。
そうですね。ママというひとくくりのカテゴリーで考えられること自体が、古かったのだと思います。ただここ数年で、元気で積極的にものを言う、いわゆる“コギャル世代”がママになり始め、少し状況が変わってきました。
――コギャル世代。どういう人たちのことを指すのでしょうか。
だいたい1997年ごろに高校生だった女の子たちが先駆けです。あこがれの的は安室奈美恵さん、浜崎あゆみさんあたりで、ガングロにしたり、ルーズソックスを履いたりしてセンター街を闊歩していた女の子たち。ケータイを持つことで、積極的に自分発信を始めた世代でもあります。
私自身は、当時『popteen』というギャル向け雑誌のデスクで、その後も編集長として彼女たちのことはよく見てきましたし、振り回されもしてきました(笑)。
この世代は、「女子高生」というブランドを誰よりも謳歌してきた人たちです。それが女子大生になり、就職し、社会の厳しさの中でもまれて、それで子どもを産んだ。そこには「ママ」という新たなブランドを勝ち得たという感覚があるのだと思います。
コギャル世代の特徴はもうひとつあって、全員が全員、いわゆるギャルだったわけではないということです。何かの雑誌を見て全員がそれを真似するのではなく、自分なりに「これだ!」と思うものを見つけようとする人たちだから、好みのファッションはさまざまで、付き合う友達もそれで分かれていくという傾向があります。ギャル系を好む者同士、ナチュラル系を好む者同士、あるいは原宿系が好きな者同士といった具合です。
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