東大・ハーバードになく、イェールにあるもの イェール大の学生生活で、僕は何を得たのか

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高校3年生の12月、Early Action で出願していたイェール大学から合格をもらい、3カ月後にハーバード大学からも合格の手紙を受け取った。

尊敬する先輩が何人かハーバードにいて、彼らを訪ねた経験もあったせいか、ずっとハーバード大に進学したいと思っていたものの、合格後に両方の大学をもう一度訪れた結果、イェール大学への進学を決めた。日本での知名度を理由に、多くの知り合いに反対されたが、僕はイェール大学のほうが好きだった。

日本では、「周りがどう思うか」ということをとても重視して、いろいろなことが決められる。大学進学もそうだと思う。多くの他人が知っているから、ハーバードに行くべきだ。多くの他人にすごいと思われるから、東大に行くべきだ。多くの他人がイェール大なんて聞いたことないから、イェールに行くべきではない――。

大きな決断がなされるとき、その主語は多くの場合「多くの他人」になっている。そこに、自分がそうしたいから、自分が好きだから、自分が勉強したいから、の「自分が」は極めてまれにしか存在しない。アメリカの大学に進学すると決めたのは自分、勉強したのも自分、これから4年間をその大学で過ごすのも自分。それならば、手伝ってくれた家族、先生、友達に対する感謝と尊敬の気持ちを忘れずに、でも自分で進学先を決めるべきだと思う。自分が行きたい大学に、行くべきだと思う。

最高に刺激的なリベラルアーツ教育

イェール大に進学し、初めの1年半、僕はありとあらゆる授業を取った。芸術史、スペイン語、グラフィックデザイン、生化学、都市工学、プログラミング、舞台演技。2年生の最後になるまで、専攻を決めなくていいというアメリカの多くの大学に見られるシステムをフル活用し、ためらいなく冒険した。

文系の教科は、必ず、10人単位でディスカッションを重視するセミナーがどんな授業にも付随し、教授とも1対1で関係を持てる。言語の授業は毎朝1時間ずつ必ず拘束され、実際に言語を話せるようになることが最重要視される。グラフィックデザインは、ニューヨークで現役のデザイナーをしている講師が、1クラス10人に限定し1学期間徹底的にプラクティカルなデザイン技法を教えてくれた。最高に刺激的な学習環境を満喫しながらも、僕は自分が実際何を専攻したいのか、わからなくなっていくばかりだった。

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