ヤクルト山田哲人は2軍でどう鍛えられたか

真中監督が明かす、スター選手の下積み時代

普通に考えればルーキーにはあれもこれも教えたくなってしまいそうですが、彼らも、アマチュア世界ではトッププレーヤーとしてやってきたわけです。

真中満(まなか みつる)/1971年栃木県大田原市出身、宇都宮学園高等学校を経て日本大学卒業後1992年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団。2001年は打率3割を超え、リーグ優勝、日本一に貢献。2008年現役引退後、2015年東京ヤクルトスワローズ監督就任1年目にして2年連続最下位だったチームをセ・リーグ優勝に導く

それがプロになった途端に「今までのやり方では通用しないから、こちらの教えるとおりに変えなさい」と言われては、モチベーションが下がってしまい、本来の能力を発揮できないことでしょう。彼らは、それまでのやり方で何かが光っていたからこそ、今、こうしてプロ野球界にいるわけですからね。

そこでまずは、彼らのこれまでのスタイルでプレーしてもらうようにしました。

そしてシーズンが進む中で、「自分のやり方ではプロのレベルについていけない」と本人が感じたときに初めて、こちらから何らかの提案をするのです。

そのときも、アドバイスはするものの、「そのとおりにやれ」という“強制”は基本的にしません。あくまで「このようにしてみてはどうか」という“提案”であり、やるかどうかを決めるのはあくまで選手本人です。

2軍といえど、毎日試合はあります。その戦いの中で自ら気づき、考え、試行錯誤を繰り返すことで、やがて1軍でも通用する選手へと成長していくのです。

結果が出せなくても試合に使う

そうした選手について、具体例を挙げてみましょう。今では球界を代表すると言っていいレベルにまで成長した、山田(哲人)です。

打席で繰り返す試行錯誤で伸びる選手は勝手に伸びる

彼は入団1年目から、2軍の全試合に出場しました。最初の頃は毎日が新鮮でしょうし、相手投手もルーキーである山田のことをあまり知らないはずですから、試合での結果も比較的出しやすかったと思います。

もちろん、彼がもともと持っている資質が素晴らしかったというのは間違いありません。しかしプロ野球のスケジュールは、1週間に6試合。いかに若い選手でもこのスケジュールに慣れるまでには時間がかかります。さらに、1年目であれば、1年を通じてどのようにペース配分すればいいかもわからない。

そのためでしょう、山田も、6月頃にはバテてきて、成績が下降し始めました。しかしそんなことは、こちらからすると最初から予想していることです。

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