2つ目は30歳未満単身女性の可処分所得の増加です。総務省の統計データ、全国消費実態調査によりますと、若年勤労単身世帯(勤労者世帯のうち30歳未満の単身世帯)の2009年10月、11月の1か月平均可処分所得をみると、女性に関しては増加しています。
男性の可処分所得は21万5515円で、女性は21万8156円となっており、女性が男性の可処分所得を初めて上回りました。可処分所得とは、収入から税金と社会保険料を差し引いた金額で所謂、手取額に近い所得になります。可処分所得の男女逆転よりももっと注目したいのは、前回との同可処分所得の比較数値です。男性が、1万6336円減少しているのに対し、女性は2万2254円増加しています。可処分所得の増加は外食需要の増加に直接的に影響しますので、俯瞰して見れば焼き肉女子増加の一因と言えます。
本調査は、5年ごとに行われます。2016年度の全国消費実態調査の単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する調査結果では、経年で比較できる当該資料は無いのですが、大幅に変わらないものと推測します。
女性客を囲い込む焼き肉店の戦略
「甘いものは別腹!」という格言めいた言葉がありますが本当でしょうか?
焼き肉に関する意識調査によれば、焼き肉の食後、「スイーツを食べたい」という女性は73.9%もいました。結果から判断すると、焼き肉食後、お腹に余力を残してでもスイーツ目的に2次会に繰り出す女性の姿が容易に想像されますので、概ね甘いモノは別腹だと考えられます。
焼き肉と食後のスイーツという相関があると仮定すれば、話の筋は見えてきます。焼き肉店の後に、他店にスイーツ目的に退店されるのであれば、自前でよりスイーツを充実させて、他店に2次会へ行くお客まで取り込む、囲い込む戦略は理にかなっています。
女性客を囲い込む、かき氷にプリンにジェラート。専門店と遜色のないスイーツの域まで進化させてきた焼き肉店のスイーツは、今後はどこへ向かうのでしょうか?
焼き肉に関する意識調査によれば、焼き肉を食べたくなる季節を尋ねたところ、トップは「夏」26.9%、「春」「秋」「冬」はいずれも10%未満でした。ヒントは、この季節性なのかもしれません。焼き肉が夏の食べ物と認識されているのであれば、プリンは別として、かき氷にジェラートと夏を想起させるスイーツとして合致しています。
ただ、焼き肉がさらに需要を加速させるのであれば、「夏」以外の「春」「秋」「冬」の需要も喚起されます。従い、「春」「秋」「冬」の季節をより細分化した季節ごとのスイーツの進化が期待できます。焼き肉女子増加による焼き肉店でのスイーツ価値が向上した今、スイーツでさらにお客さんを呼べる焼き肉店が、強さを発揮していきます。
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