
新卒一括採用が離職率を高めている主因なのか?(写真はセブン&アイ・ホールディングスの入学式)
第3次安倍第2次改造内閣で経済産業大臣として入閣した世耕弘成氏が、着任後早々の8月4日に、企業の新卒一括採用の見直しを促したいとの発言をしたという。この報道を受けて、採用関係者の間で大きな議論が巻き起こっている。
しかしこの発言の裏には、日本の新卒一括採用が時代遅れの悪い慣行だと無意識的にみなしている節がある。内閣の政策キーマンである世耕氏をこうした誤った先入観の呪縛から解き放ち、正しい政策を行ってもらうためにも、今回の見解の問題点について指摘しておきたい。
「日本の新卒一括採用は悪」という先入観

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まずは報じられた世耕経産相の新卒一括採用についての発言を改めて見てみよう。
「実施する企業は多いが、かなりの比率で新入社員が辞めている。採用される学生も採用する企業も、このやり方は負担だと思っている」(8月4日付NHKニュースより)
「採用の在り方を見直すことは、働き方改革にもつながる。今の慣行は、働く人にとっても企業にとっても感覚が合わない状況だ」(同)
この発言のポイントを整理すると以下のようになるだろう。
1.新卒一括採用を行うから、日本の新入社員の離職率(2012年3月卒で入社3年以内の離職率は32.3%。厚生労働省調査)は高い。そしてそれは良くないことだ(もっと離職率を低くするべきだ)。
2.新卒一括採用を学生も企業も負担だと思っている。また、働く人にとっても企業にとっても、新卒一括採用は感覚が合わない。
3.新卒一括採用の在り方を見直すことは働き方改革につながる。
報じられているのは短い発言だけで、真意を推しはかることは難しいが、「日本の新卒一括採用=悪」という誤った先入観に基づいているのではないかと思われる。以下、ポイントごとに見ていこう。
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