何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
「英語が使える」とはどういうことか?
ご質問をありがとうございます。皆さま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はプロジェクトファイナンスのプロを目指す金融分野の30代前半の方から届いた、英語力についてのご質問にお答えさせていただきます。
まずはビジネスにおいて「英語が使える」というのはどういう状態か定義しましょう。ビジネスですので、海外でも日本でも、使用言語が英語でも日本語でも、何らかの任務を遂行することが求められているはずです。
海外におけるプロジェクトファイナンスや、広くは法人投融資業務において求められる要素は、対象となる企業やプロジェクトを取り巻く事業環境を理解することから始まります。その中には、投融資対象の存在する国の政治・経済状況、法規制、商習慣、そしてキャッシュフローを生む対象企業や原資産の事業経済性の分析が含まれます。こうした分析を一通りしたうえで、資金提供、すなわち行内を含めリスクを取る側に魅力的な投資ハイライトとしてメッセージをつくり、案件に適したファイナンス・スキームの構築を行うこととなります。
もちろん、案件に対して関心を持つ機関投資家のモメンタム、金融市場の動向といった知見も必要となります。そして最も重要なことは、思惑やインセンティブが異なる資金調達側と行内や投資家と交渉・調整し、ファイナンス案件としてまとめ上げ、契約書に落とすことです。当然ながら、交渉も契約書のドキュメンテーションも英語で行うこととなり、交渉と契約内容においては、条件が10ベーシス違ってきても、案件が巨大であれば大きな差となってきます。
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