――日本のフィルムコミッションに関しては、地方都市の方が協力的なんでしょうか?
経済がそれだけ東京に集中しているから、フィルムコミッションを地方都市に作って、どんどんロケを誘致しようということなんでしょう。そこでロケ隊に来てもらって、お金を落としてもらい、なおかつ町を活性化のために観光名所みたいにしていく――。今、全国のほとんどの都市にフィルムコミッションがあると思います。
映画で表現できる「毒」
――佐藤監督は、映画もテレビもやられています。両者の違いをどのように考えていますか?
2006年に公開した『シムソンズ』という映画を初めて撮ったときに、やはりいろんな記者の方にそういう質問をされて。
でも僕がその当時思っていたのは、映像を介してストーリーや、そのキャラクターの気持ちを伝えるという意味においては、映画もテレビも変わらない。映画だから、テレビだからということでなく、お客さんを楽しませるものを作らなければいけない。だからずっと「僕の中では大きな違いはありません」と答えていました。
それが『キサラギ』をやった時に、大阪のあるスポーツ紙の文芸部の記者の方から、同じ質問があった。その時、「あんまり僕としては意識して違うように作っていません」といったような回答をしたら、その記者から、「ちゃいまんがな! 映画は毒や! 毒があるから映画なんや。テレビなんて毒はあらへんがな!」と言われた(笑)。
毒っていろんな捉え方があるけれども、要は人間の汚いものもきちんと表現していることだと。だから見ていて、毒も何もなくてスルッといってしまうものは、テレビでいいだろうと言われた。「確かにそういう視点はあるかな」と、思いましたが、一方で「毒って何かな?」という気持ちもある。
――その点、『ストロベリーナイト』にはかなり強烈な毒が混じっています。
別に毒という言葉に引っ張られているわけではないのですが、今、完全無欠のヒーロードラマを作っても、あんまり受け入れられないなと思っています。どんな人にも裏がある、そういうことを意識するようになってきました。
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