あとはロケ地の問題もあった。最後の雑踏のシーンは名古屋で撮っています。名古屋は土日に限り、道路を封鎖させてくれた。ただ、日が出たりして、土日だけでは撮りきれなかったので、翌週の土曜日にもう一度撮りに行って、夕方までに何とか撮れたと。そういう意味では意外とお金はかかっていますね(笑)
東京でのロケはやりにくくなっている
――東京では大規模な道路封鎖をするのは難しいんですか?
東京でのロケーションはどんどんやりづらくなってきています。キー局が東京にあって、役者さんの事務所や、制作会社とか、映像を制作する体制としては東京に集中しているのに、その東京が一番ロケがやりづらい。
だから最近は、ロケに行くにしても、東京都内よりは、近郊の千葉や埼玉、神奈川などに行くことが多い。それはテレビも映画も同じです。特に今回は、全編が雨降らしだったので、余計にロケ地探しが大変でした。
――本来ならば、そういうときのために(東京のフィルムコミッションである)東京ロケーションボックスが機能するのではないでしょうか?
ニューヨークなんて、ジュリアーニ市長のころからロケをどんどんと誘致するようになった。警察が街を封鎖して、撮影をやらせてくれる。それでニューヨークが全世界に広まれば、観光客も増える。石原前都知事は絶対にそういう意識で、東京ロケーションボックスを立ち上げたはずだと思います。実際にはいろんな規制があって、そこまで至らなかったんでしょう。残念なことですけど。
ハワイでロケをした時も、1カ月か2週間前にロケハン(ロケ地の下見)をしたときに、ここでこういう撮影をしたいとお願いすると、「わかった」と。それから、撮影前日にその近くを通ると、「いついつ何時からパーキングできません」の告知が貼ってあって、封鎖されている。当日は、そこに車を停めて、撮影を始めることができるようになっている。アメリカはそういう行政のシステムがちゃんとしていました。映像文化も産業だということをもう少し皆さんにもご理解していただけたら、日本に違った活力が与えられるようになると思います。
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