カルビー、たった1人で30億円を稼ぐ男 「ベジップス」を売るため、開発屋は“進化”した

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遠慮深い柚木だが、ベジップスにかける想いは誰よりも強い。「新規商品ってやっぱり逆風がすごく強いんですよ。社内でも社外でも、本当に投資しても売れるんだろうなと、つねに疑われている。それを突破していくには、何より想いと打たれ強さがないとできないでしょうね」。

軍師も武将もこなすオールラウンダー

ヒット商品の立役者となった柚木は現在、ベジップスプロジェクトのリーダーを務める。ベジップスにかかわる業務なら開発案件から、投資案件、原料の仕入れ発注や本業のマーケティングまで、何でもござれ。パッケージのデザインや、はたまた消費者からの手紙の返事まで何でもこなす“オールラウンダー”として、多忙な日々を送っている。

そんな柚木の愛読書は『三国志』。昔から天才的な軍師である諸葛孔明に憧れていた。「本当は軍師をやりたいのですが、最近は武将の役回りばかりですね」と苦笑する。理系から文系の仕事までこなす柚木らしい言葉だ。

だが、一方で八面六臂の活躍をこなすには、人一倍の努力が不可欠。柚木は住まいのある宇都宮から東京まで通勤するため、毎朝5時に起床。8時半(サマータイム時期には7時半)前に東京駅近くの本社に出社をしている。

往復3時間の新幹線通勤の合間には、財務や経営の勉強を欠かさず、手帳にはびっしりと勉強の跡が残っている。

次の目標は? という質問には、「全国展開はやりきったので、次は3品目の新味の投入。これはすでにテスト販売も好調ですので、今年の春ごろにはお披露目できるかもしれません。その次は、ベジップスを世界で売れる商品にしていきたいですね」と目を輝かせる。

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手帳には、財務などを勉強するメモがビッシリ

ベジップスは現在、アメリカなど海外のアンテナショップでも試験販売を実施し、好評を得ているという。

「でもこれ以上は、1人では無理ですね(笑)。少数精鋭と1人は違いますから!」。

目標はベジップスの世界展開。柚木の挑戦はまだまだ続きそうだ。(=敬称略=)

(撮影:梅谷 秀司)

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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