カルビー、たった1人で30億円を稼ぐ男

「ベジップス」を売るため、開発屋は“進化”した

「本当に気合いですよ。ホームページで調べて、電話して『行くから!』と言って突っ込んでいく」。語学も何もかも、すべて1からスタートしたという。

単身、中国の秘境までも乗り込んでいく

玉ねぎの故郷、中国西北部の甘粛省に降り立ったのはそんな時期だった。

「もし種を混ぜられたりすると、自分のこだわった品種が手に入るかどうか分からない。だから自ら種を手に持って、北京経由で飛行機を乗り継いで、種を植えにいきました。半ば、意地になりながら」

中国での栽培では何度、「死ぬかもしれない」と思ったかわからない。現地で3日間ほどかけて栽培の準備をし、無事に種を植え終えて空港に戻ると、帰りの飛行機が欠航。いつ飛ぶのかと聞いたら「来週飛ぶかもしれない」と言われる。

現地から10時間以上かけて最寄りの空港まで車で戻るが、マイナス30℃の氷の世界のため、車が走るそばから凍っていく。1時間おきに運転手がハンマーを持って車を叩いて氷を落とすという、想像を絶する世界だ。

野菜の収穫は1年に1回、多くても半年に1回しかできない。柚木は何年もかけて海外での実験栽培を続け、中国以外にインドネシア、ニュージーランドにも出向き、種付けから収穫までをカルビーが管理する契約栽培を実現した。

しだいに海外での栽培も軌道に乗り、09年にはメンバーが増え4人になる。玉ねぎ担当、かぼちゃ担当、さつまいも担当、にんじん担当と、ベジップス開発チームとしては大所帯になった。「そこまで、すごい時間がかかりましたからね。そのぶん、いい商品ができた」。

「じゃがりこ」生みの親が、一喝

しかし、ヒットまでの道のりは決して楽なものではなかった。

「今だからヒット商品って言ってもらえますが、当時はいつまでやっているんだっていう、逆風中の逆風でした」と柚木は振り返る。05年からすでに4年以上研究は続き、ベジップスの開発は最終段階を迎えていた。

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