よくBesok(ベソック:明日)という言葉を使いますが、これは実際には明日ではありません。来週や来月であることもあります。そのときにも「その明日は、具体的にいつですか? 来週ですか? 来月ですか?」と詳しく聞いてみてください。
――その文化はどこから来ているのでしょうか?
スハルトさん:私たちはずっと昔からTogetherness(連帯感)の文化を持っています。個人主義ではなく、集団や家族をとても大切にするのです。
イスラム教からの考えというより、もっと前かもしれません。世界最大級のボロブドゥール遺跡が仏教寺院であることからもわかるように、インドネシアはイスラム教よりも前に広がった、ヒンドゥー教や仏教の影響も受けています。その頃からずっと「人の気持ちを思いやる」というのが続いて今に至っているのです。
人が困っているときはその人を見舞って、思いやる気持ちを見せなければいけません。そうしないと、その人を無視していることになります。
報酬よりも、つながりの深さが大事
――たとえばですが、部下が入院したりした場合はお見舞いに行くべきでしょうか?
スハルトさん:はい。そうしないと無視されたと思われてしまいます。上司と部下のつながりはとても大切なのです。
日本の企業でもぜひしてほしいことは、スタッフの家族みんなとの旅行やピクニックです。会社の規模にもよりますが、1カ月に1回、もしくは2カ月に1回ぐらい、インドネシアでは家族も一緒にピクニックをするなどして、集まって一緒に過ごします。その時間を過ごすことでつながりが深まり、信頼関係ができるのです。
インドネシア人の多くは報酬よりも、そのつながりによって会社に対して忠誠心を持ちます。報酬が低くても、つながりが深いことで幸せに暮らしている人はとても多いです。
――ほかに日本ではあまり行わないことで、必ず行わなければいけないことはありますか?
スハルトさん:インドネシア人の多くはイスラム教徒ですので、ラマダン(断食月)に断食を行います。ラマダンの終わりにはIDUL FITRI (イドゥル・フィトゥリ、イスラム教のお正月)のお祝いが始まり、人々は最低2日の休みを取り、日本のお正月のように親族がみんな集まるのです。そのときには必ず、企業は従業員に対して特別手当を支払わなければいけません。
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