――でも、部下だけでは解決できないときにはどうしたらいいですか?
スハルトさん:そういうときには、上司のほうから部下のところに行って、「何か問題があるのか? 手助けをしようか?」と話しかけなければいけません。そうすると、みんな問題を相談してきます。
その際にも、問題を報告してこなかったことを責めるのではなく、解決しようとした姿勢を評価しなければいけません。部下が報告をしてこないのは、上司を敬ってのことなのですから。
これは会社だけではなく、家族の中でも同じです。たとえば、家族では父親がリーダーです。兄弟同士でけんかがあれば、子どもたちはまず両親に話をする前に、自分たちで解決しようとします。父親の役割は子どもたちがどうしているか、問題が起こっていないか観察をすることです。
インドネシアでは、上司は父親のように部下をよく観察して理解し、必要なときには上司の側から声をかけることが求められます。ですので、日頃から状況をよく見ていなければいけません。
もし、誰かの失敗がわかったとしても、他の人の前で叱ってはいけません。インドネシア人は対立したり、人の気分を害することをとても嫌うのです。人前で叱ることはその人をとても傷つけます。
かならず個別に呼んで、他の人がいないところで話をしなければいけません。インドネシアではフレンドシップとつながりがとても大切です。
そのYesは、本当にYesですか?
それから、インドネシアでは感情をコントロールできなければいけません。怒りを表すことは、自分の弱さを見せることだと言われています。例外的に、怒りを表すことで強さを示す地域もありますが、基本的には怒りはコントロールして外には出しません。
――インドネシアの人は直接的に“NO”をあまり言わないそうですね。NOを表す言い方が10以上あるとか?
スハルトさん:最初の「おもいやり」が切り離せないという話になります。インドネシア人は、摩擦を起こしたり、争うことを嫌うので、Indirect(間接的)に物事が進みます。それが言葉にも表れます。
たとえば好きではないものに対して「好きじゃない」とは言わず、「他のものがいいんじゃない?」と言う。また、どこかに誘われたとしたら「また後で」とか「今はそのときではない」と答えます。NOと言って相手に不快な思いをさせたくないのです。
ですので、まずはYes、Noで答えを求める質問ではなく、意見を聞く質問をするようにしてください。また、答えがわかりにくいときは「そのYesは、本当にYesですか?」と何度も詳細を聞いてください。そうすればだんだん本音が出てきます。
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