1番でも本流でもない人が組織を強くする 蝶野正洋「期待がないからこそ自分が出せる」
というのは俺自身、闘魂三銃士の他2人を最初は敵視していたんだよ。この世界は弱肉強食だと思っていたし、3人ひとくくりで見られるのはゴメンだ、という気持ちもあった。でも、徐々に考えが変わっていった。
というのは、3人いるから、誰か1人が不調でも、それがあまり目立たなくなるんだよ。それどころか、3人のうち誰か1人が上にいれば、自然と他の2人も、並べて見てもらえるようになった。
これは、精神的に助かる部分だったよ。余談かもしれないけれど、闘魂三銃士の後の、永田(裕志)、中西(学)、天山(広吉)……いわゆる第3世代のレスラーは、そういう前向きな関係を作り出せなかったね。それどころか、互いが互いを蹴落とそうとしていた印象がある。でも、それは、ひいては自分も蹴落とすことに繋がってしまうんだ。
みなさんも、職場において、同期なりライバルなりがいることだろう。
でも、組織において、足の引っ張り合いは厳禁。自分にも会社にも、何もプラスを生みださないから。それよりも、共に上がっていこうとか、上回ってやろうという、前向きな気持ちが必要だ。
仕事にやる気が出ない時にはこう考えてほしい
俺自身、東日本大震災の慰問活動で、改めて、プロレスという娯楽を担う、自分の仕事の意義がわかった部分があった。行く前は逡巡があった。俺たちは、食べ物を作ってるわけでもなければ、医療行為がほどこせるわけでもないから。
ところが行ってみると、被災地の皆さんが、みんな喜んでくれたんだ。
「よく来てくれました!」「元気が出ました!」って。
そうだ、俺たちは、気持ちをヘルプすることはできるんだなって。精神に余裕のない状況だからこそ、それは必要なものだったんだって。
仕事って、「これ、何の役に立ってるんだろう」と感じることもあると思う。直接的な効果と無縁に見える時も多いと思うんだ。自分のためにやるという気持ちが持てないことも数多いだろう。
でもそんな時は、誰かをヘルプしてる、気持ちをヘルプしてる。そう考えてみていいんじゃないかな。
俺には父親が2人いると言ってもいいかも知れない。実の父と、プロレスという仕事上の父、アントニオ猪木さんだ。この2人が、俺の人生におよぼしたものは大きいね。
でも、それは反面教師的な部分も多い。
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