「生涯現役」こそが最高のキャリア人生だ 「レスラー兼社長」武藤敬司の仕事論

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武藤敬司が悟った「したたかに長く幸せに働く」秘訣とは?(写真撮影:菊池茂夫)
数十年に渡り第一線で戦い続ける存在に、スター・プロレスラーがいる。プロ野球やサッカー選手に比べても彼らの選手寿命は長く、60歳定年の会社員と同じくらい長く活躍する人もいる。
『生涯現役という生き方』(KADOKAWA)を共著で出版した武藤敬司、蝶野正洋もそうした存在だ。今も現役でトップの存在感を放つ2人は、プロレスというビジネスをどう生き抜いて来たのか?
まずは、1984年のデビュー以降、業界の老舗タイトルを総ナメし、現在は自らの新団体「WRESTLE-1」の社長に就任している武藤敬司の話を聞いてみた。

不安だらけの世の中を少しでも楽しく生きるために

今、会社を辞めようか悩んでいる人がいたら、ちょっと話を聞いてほしい。実は俺、会社を2回も辞めてるんだよ。ひとつ目は、プロデビューさせてもらって、俺を育ててくれた新日本プロレス。その次は、新日本から移籍して、社長まで務めた全日本プロレス。

自分の経験から言えば、もしも今いる会社を辞めて、新しい会社に移ったとしても、前の会社での経験は必ず人生のどこかで役立つということだけは伝えておきたい。当たり前のこともかもしれないけど、これって結構大事なことだと思う。

俺自身、「生きることは積み木だ」と思ってる。そう考えると、経験を積むことの重要性も、いつも忘れないでいられるしね。あと、いいことも悪いことも含めてプラス思考で物事を考えられるようになる。

それに、プロレス自体がそのイメージにはまるんだよ。勝ち負けじゃなくて、少しずつ少しずつ経験を積み重ねながら、自分の塔を形作っていくようなイメージだからね。いわば、俺だけの武藤城をね。

だから、「人生も折り返し地点に来た」とか、そういう考え方はしなくていいと思う。だってそれまで生きてきた経験が、みんなにはあるわけだからね。今の時代、「生きがいが見つからない」「生きがい自体がない」とかで悩んでいる人が多いって話をよく耳にする。

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