質問者の方のような若い方を取り巻く現在の環境としてわかっていることは、わが国の人口は減り、政府の債務は増え、経済成長は鈍化しているということだけです。こうした中で皆さんが自分、家族、仲間を守っていくには、何かしらご飯を食べていける仕事をつくり出すことが必要となります。就職活動中の皆さんが、「有名で大きな会社にしておきなさいよ」というママのアドバイスを聞くほか、少しだけオプションを持つことはいいことかもしれません。
『リアルスタートアップ』ではどうやってビジネスをつくり出すか、という方法について述べました。そして1つのロールモデルとして、有名大学を卒業しグーグルに入社した後にシンクランチ社を起業した、20代の若者2人のインタビューを掲載しました。若者にとってそういう働き方もありだということを示したかったのです。その後、シンクランチの2人は宣言どおり、自分たちのつくり出したビジネス(会社)を起業から1年4ヵ月後に売却しキャッシュインしました。
シンクランチの明確な目標
「成功」というものは個々人が定義して測定すべきものですが、シンクランチの2人は会社設立以前から、「ビジネスをつくり出して売却する」という目標を掲げており、それを達成したので、1つのロールモデルと言えるでしょう。
こうした起業とイグジットというシリアルアントレプレナーの行為は、わが国における無意識下の個人の会社に対する過剰適応や自己同一化傾向からすれば、ドライな感もありますが、質問者の方のような若者が考えるべき1つのスタイルではあります。もしもシンクランチのような事例が100件あれば、若者の意識も少しだけ変わることでしょう。
今回は「シンクランチ」の2人の事例も含めて、起業をまったく考えていない若いビジネスパーソンや学生の方にも示唆となるように、できるだけシンプルにお答えしたいと思います。といいますか、言葉を尽くす必要もなく、ビジネスの本質はシンプルなところにあると思っています。
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