成功する地方創生は「人づくり」が一味違う 「こうしなさい」では絶対にダメ!

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観光は地域の方が自分たちで発掘し、磨き上げた「自分のもの」にする必要がある(撮影:梅谷 秀司)
無名の地方の村からほんの数年で「日本一の星空の村」へと変貌を遂げ、年間6万人もの人を集めるようになった長野県阿智村。その成功した村おこしの影には、現地で地道なサポートを続けたJTB中部社員、武田道仁さんの奮闘がありました。
従来の旅行会社の発想を覆すような武田さん流の「地方創生」について、前回記事に続き、武田さんをよく知るマーケティング戦略アドバイザーの永井孝尚氏が聞きます。
※前編:JTBが花火大会でパイプ椅子席を売るワケ

 パンフレットに載せるだけでは売れない

永井:今でこそ有名になった「日本一の星空の村」長野県阿智村ですが、その村興しをサポートして来たのが武田さんです。阿智村と一緒に挑戦を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

武田:私の仕事は、その地域ならでは強みを発掘して、観光客にとって魅力ある観光地域になるお手伝いすることなのですが、地域からは「とにかくJTBのパンフレットに載せて欲しい」というご依頼も多かったんですよね。ただ、旅行商品として何らかの問題があることも多かったんです。

たとえば、「実施については都度相談ください」とか「責任者不明」だったり。お客様の立場になると、申し込みにくいですよね。

永井:かつては地域が旅行商品を作るという発想はありませんでした。そこへ数年前から「着地型旅行」と言われ始め、地域が旅行商品作りに本腰を入れ始めて、逆に「プロダクトアウト」に陥っていたわけですね。

武田:そうですね。しかもコンサルの方のアドバイスや調査を行ったうえでの「プロダクトアウト」なんです。だから、お客様の近くにいる旅行会社の立場で、お客様の潜在的ニーズを満たすような体験を地域の方と一緒に作れればと思い、中部各地で魅力ある着地型旅行商品づくりセミナーをしました。「パンフレットに載せるだけでは売れません。キッチリと売れる物を一緒に作りましょう。たとえば雪がない季節にスキー場を活用すれば、新しい魅力や新しい市場を作れるかもしれませんよ」といったことを話したんですよね。そうしたら偶然なんですけど、そこに、のちに阿智村のスキー場で「日本一の星空ツアー」を生み出すことになる、阿智村の松下仁さんが参加していました。

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