大前氏「日本の地方はイタリアの村を見よ!」 小さな村が自力で1500億円稼ぐのもザラ

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イタリアの小さな村は世界相手にどのようにして1500億円も稼いでいるのでしょうか(写真 : kai / PIXTA)
今、「地域活性化」「地方創生」が叫ばれていますが、果たして地方創生はうまくいっているのでしょうか? 大前研一氏は新著『ニュースで学べない日本経済』の中で、「日本の地方は世界市場を見よ」と述べています。地方がどう世界とつながっていくのか? 地方創生のカギを大前研一氏に聞いてみました。

政府による「地方創生」はもはや意味を持たない

「人口減少」と「高齢化」、おカネがたくさんあっても企業や個人におカネを使う欲望がない「低欲望社会」、「政府債務残高の増加」など、大きな問題を抱える日本の将来への展望は暗いとしか言いようがありません。

ただし、地方や企業や個人は、世界の中で繁栄している元気なところを見て、世界を相手にしていけば明るい未来が開けるはずです。今回は、その中でも「地方」にフォーカスし、日本の地方がどう世界とつながっていけばいいかを考えてみましょう。

これからの地方の活性化は、いま活況を呈しているインバウンドがカギになってくるでしょう。ITを駆使して海外の人にプロモートしていく方法はいくらでもあります。またアイデア次第で観光産業、リゾート産業、地場産業を成長させていく「地方創生」のチャンスも大いにあります。

そもそも、「地方創生」が政治課題になる国は日本しかありません。日本の場合には政治がゆがんでいて、地方の票が大きいからです。普通は人口の多い都市の問題がナショナルアジェンダ(国として実施するべき課題対応)になります。途上国だった日本にとっては、全国にインフラを整えるという意味で「地方創生」にも意味がありました。しかし、現代では随分状況が変わっています。政府がいくらおカネを使っても効果が上がりません。

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