佐賀が「東京の大学生」を地域活性に呼ぶ理由 外からの視点で次々明らかになった「問題点」
県の地域創生事業の一つ「手をつなごう(域・学連携地域づくり)プロジェクト」で、東京農業大学と慶應義塾大学の学生が佐賀県のみやき町と基山町を訪れた。都市部の大学生という外からの視点で地域の価値を再発見したり、地域振興のヒントを提言したり、新たな動きにつなげている。(記事中の学年は旧年度)
大学生が指摘した、棚田活用「3つの課題」
東京農業大からは造園科学科自然環境保全学研究室・観光レクリエーション学研究室(東京都世田谷区)の3、4年生11人がみやき町を訪れた。
地域住民を案内役に山田、綾部、白石の3地区を3月下旬に3日間歩いて回り、景観作りのプロとして地域に眠る資源や課題点を探った。
フィールドワークを終えたメンバーは研究発表会を開き、3班に分かれて報告した。棚田を生かして秋場にヒマワリ園を開園している山田地区の調査班は、「日本の原風景とも言えるロケーションが魅力的。地区住民が自らの手で活動を支えてきた」とこれまでの取り組みを評価した。
その上で、(1)ヒマワリ園の整備に追われて同時期の農業に手が回っていない(2)各資源が限られた時期にしか活用されていない(3)水源涵養(かんよう)能力が低下している、などの問題点を指摘。地域外からのボランティア受け入れや有機農法の導入、フットパス(散策路)の作成による年間を通した来場者確保などを提言した。