大前氏「日本の地方はイタリアの村を見よ!」 小さな村が自力で1500億円稼ぐのもザラ

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最近、ご当地キャラクターが人気を集め、東京にアンテナショップを出す自治体も増えています。焼きそばなどのB級グルメを集めたイベントに数十万人が集まるなど、地域の伝統文化や特産品への関心が高まっています。

問題は、それが地域経済のパイを大きくするほどの規模にならないということです。「地域を元気にする」という意味では大きなプラスなのですが、日本経済、地域経済という大きな視点で見ると、残念ながらあまり大きな効果はないのです。

地域の特色を生かすという意味では、一村一品運動もひとつの方法です。いわゆる「村おこし」「町おこし」の動きですが、これもコミュニティビジネスやご当地ブーム同様、地域を元気にする効果はあっても、県のGDPを押し上げるほどの影響力はありません。

中央依存から脱却し「世界」に目を向ける

地域レベルで、中央依存の経済構造からどのように脱却するか。これにはやはり、「世界」に目を向けることが重要になってきます。地場産品を、国内で販売するだけでなく、海外に輸出して稼ぐ。それから、観光客や企業、ビジネスマンや技術者、つまり人・モノ・カネが海外から入ってくる仕組みを作ることが必要です。中央・東京依存型の経済から脱し、地域が直接海外経済とつながるというやり方に転換しないといけないのです。

どうすれば日本で地方創生を実現できるのか、事例を見ながら考えていきましょう。

地方創生には大きく3つのパターン、モデルがあります。

ひとつは江戸時代の「自給自足経済」。いわゆる「地産地消」です。江戸幕府が270年も続いた最大の理由は、それぞれの藩で産業が興り、自分の食い扶持ぐらいは稼いでいたからです。非常に賢明な政策です。

次に米国のモデルです。米国では州、すなわち地方自治体が三権(司法権、立法権、行政権)を持っています。一方、日本には、そもそも地方自治体がありません。日本国憲法第8章には、「地方公共団体」と書かれており、「自治体」ではないのです。いくら「頑張れ」と言っても、権限がなければ地方でできることには限界があります。だからこそ、道州制を導入して、それぞれの道州が成長を競う仕組みを作る必要があります。

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