成功する地方創生は「人づくり」が一味違う 「こうしなさい」では絶対にダメ!
永井:面白いですよね。コンサルティングというよりも、むしろカウンセリングやコーチングですよね。そう言えば阿智村の松下さんも、「武田さんはなかなか答えを言わないんですよ」っておっしゃっていました。私も色々な企業で新商品開発のワークショップをしていますが、まったく同じことを経験しています。
企業の顧客や自社の強みは、本来その企業の方々が一番よくご存じです。でも当たり前になっていて逆に気がつかないことも多いんです。
武田:地域が自分たちの強みに気がつかないのとまったく同じですね。
永井:そこで私は、最初に「お客様が買う理由」を作って検証する基本的な考え方をご説明します。私も新商品開発プロジェクトに深く入るのですが、基本的に社員ご自身で仮説を立てて、実際に顧客に会って仮説を検証して、仮説を進化させるのをご支援する戦略アドバイザーの役割に徹しています。お客様が自力で答えを導き出すのは大変ですが、身についたスキルはその後の新商品開発で活かせるので再現性もある。企業にとって一見遠回りですが、ずっと役に立ちますよね。
武田:地域主導の魅力ある観光地域づくりも企業の新商品開発も、プロセスが大事ですから、考え方は共通していますね。
強みを繋げて解決策を商品化
永井:白山市では、その後、どうなったのでしょうか?
武田:実は白山比咩神社は、縁結びでは日本最強のパワースポットなんです。日本書紀にも登場する、伊弉諾尊(いざなきのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が夫婦喧嘩したのを仲直りさせた菊理媛尊(くくりひめのみこと)が祀られているんですよね。金沢の野町駅から白山比咩神社がある鶴来(つるぎ)まで、かわいい2両編成のローカル線が走っています。鶴来の街には、200年以上の歴史がある風情ある町屋が残っています。
そこで、これらを繋ぎ合わせて、一昨年、縁結びをテーマに金沢からのカワイイ旅として未婚女性を対象に「恋のしらやまさん」きっぷというのを売り出しました。電車一日乗車券・観光マップ・鶴来のバス乗車券・和菓子チケット・辻占チケット・恋文奉納セットを一式セット販売したものですね。
永井:白山市の強みを顧客視点で徹底的に見極めて、その強みを必要とするターゲット顧客と課題を絞り込んで、強みを繋げて解決策を商品化したわけですね。
武田:これを白山市の人たちは自分たちで考えて作り上げました。だから「イメージしたお客様に試したい、どんな反応になるだろう」と、まずはモニターツアーを行って反応を見て、結果から学んで継続的に改善していく形になりました。
永井:5年前から始めた阿智村と、昨年から始めた白山市の事例をお話しいただきました。阿智村は取り組みを始めてから5年経っていますが、だいぶ変わりましたか?
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