アルファロメオ復活のFR「ジュリア」の正体 豪快な加速と野蛮な音質で、意のままに走る
まずは、マニアお待ちかねのトップグレード、“クワドリフォリオ”からリポートを始めよう。
クワドリフォリオの要点
クワドリフォリオの要点は、0-100km/h加速3.9秒、ニュル北ラップ7分39秒という、現時点で世界クラストップ、どころか、リアルスポーツを脅かすほどのパフォーマンスを叩き出す源泉ともいうべき、パワートレーン、軽量化(ルーフとボンネットがカーボン)、電子制御、スタイリング、の4つに絞られる。
なかでも、510馬力を標榜するV6ツインターボエンジンには、誰もが注目していることだろう。フェラーリのエンジニアリングを活用、と発表時にはアナウンスされていたが、活用どころの話じゃない。これはもはやピュアなマラネロエンジンだ。フェラーリが設計に深く関わり、マラネロのフェラーリ工場内エンジンファクトリーで量産されるV6で、予想に反して、マセラティ向けの60度3リッターV6ツインターボとはまるで異なっている。
90度直噴V6ツインターボは1気筒あたり排気量481ccの2.9リッターエンジンで、カリフォルニアT用90度3.9リッター直噴V8ツインターボのボア×ストロークとまったく同じ。正確に3/4なのだ。その他、電子制御技術やエアロダイナミクスにもフェラーリのテクノロジーが活用されている。
つまり、ジュリア“クワドリフォリオ”は、ディーノ・サルーンというべき存在だった!
本国左ハンドル仕様にはゲトラグ製6MT仕様も用意されていたが、撮影用に試乗した限りでは、“ホレボレする”と言いたくなるほどのマニュアルギアボックスでは、正直、なかった。500馬力オーバーのFRを、手足を駆使して操るという醍醐味はもちろんあるだろうし、それを自分のものにしていくプロセスも楽しみのひとつだと“マニュアル派”のボクは常々思っているが、クワドリフォリオ用ではクラッチやシフトのフィールにキレがなく、いかにも大パワー車用という感じがにじみ出ていた。