アルファロメオ復活のFR「ジュリア」の正体 豪快な加速と野蛮な音質で、意のままに走る
ZF製8ATを組み合わせた仕様の方が、このクルマのキャラクターには似合っている。まるでフェラーリのように大きなアルミニウム製パドルシフトを弾くように扱って変速すれば、大パワー&トルクのおかげで、ほとんど期待されたデュアルクラッチのDCTと遜色ない加減速をみせた。非常にキレのいいFRゆえ、ステアリング操作に専念できるというメリットの方が、忙しさの増す3ペダルマニュアルの操る歓びより、上回っているのだ。
加速は豪快、サウンドはアルファサウンドに近い
加速は、豪快のひと言。車体の軽さと強靭さの賜物だろう。反応は鋭く、姿勢は安定している。あっという間に200km/hを超えた。サウンド的には、4Cをさらに野太く、野蛮にした音質で、フェラーリやマセラティとは全く異なる。これこそが、その昔のバロッコで響き渡っていたアルファサウンドに近いものなのかも知れない、などと思わず想像してしまう。
驚くほどシャープなのに手応えのいい前アシと、すさまじく安定した後アシのおかげで、意のままに動く馬に股がっているかの如く、自由に向きを変え、鋭い切り込みでタイトベントをクリアする。トルクベクタリングの働きにほとんど違和感を覚えないのは、シャシー・ドメイン・コントロールというクワドリフォリオ専用の電子制御“中枢指令塔”が優秀だからだろうか、それともコチラがすっかり電子制御慣れしてしまっているからなのか。
ドライブモード選択のアルファDNAに新たに追加されたレースモードを試してみると、こんどはタイトベントでいとも簡単にリアがブレーク。とはいえ、その端緒はこれまで乗ったFRの中でも最も分かり易い部類に入るもので、しかも前アシの反応が前述どおり鋭く確かだから、まるで慌てることなく修正できてしまう。レースモードではESCオフとなるわけだが、最後の最後で救出してくれるのかどうかを確かめる間もなく、派手なドリフト走りを楽しんでしまった。
ジュリア・クワドリフォリオは、今、世界で最も楽しいDセグスポーツセダンだと断言したい。ここれは潔く、ロッソ・アルファ(赤)の外装にブラックレザーインテリアの赤&緑ステッチ入り、なんてベタな仕様を選んでみたくなった。