アルファロメオ復活のFR「ジュリア」の正体 豪快な加速と野蛮な音質で、意のままに走る
実は、クワドリフォリオをテストコースで試す前に、ガソリンとディーゼルを積むグレード“スーパー”を公道で試し終えていた。ジュリア・スーパーといえば、往年のアルファスポーツセダンであり、その名の響きに、懐かしさのあまり、思わず頬を緩めたアルファファンも多いはず。
新型ジュリア・スーパーもまた、少なくともその“走り”においては、栄光の歴史に泥を塗らずにすんだようだ。
乗り心地、前アシの動きはとても実力が高い
とにかく、乗り心地がよく、前アシがよく動き、車体の動きは軽快(前後重量配分50:50)で、それでいて加減速&高速の安定感も充分(そう、この時点で既にシャシーのオーバークォリティぶりは明らかだったので、クワドリフォリオへの期待もいっそう高まっていたのだった)。ハンドリングのニンブルさ(素早さ)と正確さで現行3シリーズを上回り、乗り心地と高速安定性では現行Cクラスと遜色ない、と言えば、その実力の高さを想像してもらえるだろうか?
個人的には、180馬力のディーゼルターボ仕様より、200馬力の新開発FR用ガソリンターボ仕様の方が、アルファロメオのスポーツセダンらしいと思った。というのも、新開発ディーゼルターボでは、実用域での使い勝手や高速域での安楽さでは勝ったものの、オールアルミニウム製で軽く仕上げたとはいえ前方からの振動がフロアに伝わり、助手席では明らかに乗り心地も劣化する。
加えて、サウンドも明らかにディーゼルっぽい上に、官能的には回らない。アルファのディーゼルに期待する(勝手な)レベルには、官能性という面で及んでいなかった。これで、もっと爆発的なトルクフィールでも感じられれば相殺できるというものだが、車体側の完成度がかなりのハイレベルということもあって、それもなかった。つまり、実用に徹したモダンなディーゼルである。