キャリアという"偶然"に必要なもの 効率的キャリアが一番弱い

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20世紀に栄華を極めたグローバル企業が21世紀には苦境に立たされる。こうした現実を、われわれは毎日のように目にしている。ビジネス環境の変化は、かつての企業の必勝法を無力化した。このことは、ビジネスパーソンのキャリアにも同じことが当てはまる。次の時代に求められること、そこで役立つセオリーについて考える。

「想定外変化」と「専門性の深化・細分化」の時代

最初に、キャリアを取り巻く環境について俯瞰しておこう。「想定外変化」と「専門性の深化・細分化」という2つの大きな変化が進行していることを確認しておきたい。

「想定外変化」とは、これまでは想定しなかった変化が、当たり前のように起こる状況である。これが21世紀のキャリア環境の最も大きな特徴といえるだろう。

その最大の要因は、右肩上がりの経済が終焉し、1990年代後半から日本企業でも撤退、売却、大リストラといったダイナミックな組織変革が一般的になったことだ。

右肩上がりの経済では、待っていれば問題は時間が解決してくれた。しかし、成長が期待できなくなった昨今では、時間の経過は問題を深刻化するだけである。「損失隠し」や「飛ばし」にも見られるように、日本企業にはもともと問題を先延ばしにする体質があった。

しかし、1997年の山一證券破綻以降、もはやそれでは通用しないことを身をもって感じた企業は、ここにきて大胆な組織変革を厭わなくなったのだ。そして、こうした変化がビジネスパーソンのキャリアに大きな影響を及ぼすことは想像に難くない。

21世紀前夜ともいえる2000年12月。私は『キャリアショック』という本を出版した。これまで積み上げてきたキャリア、あるいはこうなるだろうと描いたキャリア予想図が短期間のうちに崩れることを「キャリアショック」と名づけ、そうした環境が迫ってくる懸念を記したのだ。

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