バイエルンの選手は試合前の一杯で緊張を克服
どんなスポーツにおいても、若手が試合で力を出せない最大の理由のひとつは「緊張」だろう。
自分の力が通用するのかという不安や、ミスをしたら2度とチャンスをもらえないかという恐怖が、試合が近づくにつれて高まっていく。
たとえば、のちにバロンドールに2度も輝いたカール=ハインツ・ルンメニゲほどの選手でも、10代のときはその悩みと無縁ではなかった。
18歳のときに迎えた1976年のチャンピオンズカップ決勝直前、ロッカールームでルンメニゲは極度の緊張に襲われていた。すると、メディカル担当のリチャード・ミュラー医師が、そっとルンメニゲにコップを差し出した。何と中に入っていたのは、コニャック(白ワインから作ったブランデー)だった。
ルンメニゲが驚いて見返すと、ミュラー医師は「問題ない!」の一言。ルンメニゲは覚悟を決めて、2杯半、コニャックをあおった。アルコールの効果は絶大で、ルンメニゲは90分間フル出場してバイエルンの1対0の勝利に貢献。バレたら大変なことになるが、酔っぱらうことで緊張を克服したのである。
ただし、実はサッカーにおいて、緊張という感情は悪い面ばかりではない。発想を変えると、これほど真剣勝負において頼りになるものはないとも言える。
緊張によって、もうひとりの自分を引き出せるからだ。
現在、川崎フロンターレを率いる風間八宏監督は、現役時代、特にメンタルが強い選手として知られていた。
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