風間流「ポジティブに緊張を利用する方法」

川崎フロンターレ 風間監督のすごいメンタル

彼のキャリアを見れば、そのふてぶてしいまでの貫禄の理由がわかる。

清水商業高校から筑波大学に入学し、早くも18歳のときに日本代表に選出。この頃から自分の価値観を何より大切にし、教育実習を優先して日本代表を辞退したこともあった。大学卒業後は、実業団からのオファーをすべて断り、ドイツ移籍を選択。日本人3人目のプロ選手になった。

そして1989年、満を持して日本に帰国する。

「あとはゆっくり寝るだけじゃないか」

マツダ(現サンフレッチェ広島)から「外国人ではなく、日本人のリーダーが必要なんだ」と口説かれ、ドイツ2部のブラウンシュバイクからマツダへの移籍を決断。チームにプロ精神が足りないとみると、練習でミスしたチームメイトの胸ぐらをつかんで「できないなら帰れ」と一喝した。敗戦後に笑っている選手がいたときには、シャンプーを壁に投げつけ、ロッカーを蹴飛ばして出ていったこともあった。嫌われ役になってでも、真のプロとは何かを伝えようとしたのである。

そんな意識改革を進めていたある日、ひとりの新人が風間の部屋のドアをノックした。のちに日本代表MFとして活躍する森保一(現サンフレッチェ広島監督。今季のJリーグの優勝監督)だ。

森保は緊張しやすいタイプで、試合前日の大きな悩みになっていた。それをスタッフに相談したところ、「八宏は心臓に毛が生えているから、あいつに話を聞きにいけ」とアドバイスされたのだった。

風間は後輩にやさしく語りかけた。

「おまえはいいな。もう緊張しているんだから。おれはもうひとりの自分を出すために、これから緊張を高めるところだ。おまえはその作業が終わっているんだから、あとはゆっくり寝るだけじゃないか」

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