市場はアナログからデジタルへ一気に変わる 「APSカメラ」と「ネットMDウォークマン」と「ダブル購読」

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いちばんわかりやすい例が新幹線だ。新幹線開通後、東京から大阪へ鉄道で移動する人はほぼ全員、新幹線を使うようになった。その理由を「高速化したから」と説明するだけでは不十分だ。「在来線特急がなくなったから」なのである。

同様に、大多数の人が携帯電話を持つようになったのは、公衆電話とテレホンカードの減少と関連している。携帯電話を持たなければ、不便な状態に追い込まれてしまったのだ。近所のDPE店がなくなったため、デジカメを購入し、それまで大事にしていたフィルムカメラをしまいこんだユーザーもいるだろう。新しい技術によって市場が塗り替えられるとはそういうことだ。完膚なきまでに塗り替えていくのである。

本屋が減ると電子書籍が普及

本についても、近所の本屋がなくなればネットで買わざるをえなくなる。ネットで買えば価格を比較してアマゾン「キンドル」やソニー「リーダー」などの電子書籍で済ませる人も増えていく。本屋の減少が続いている以上、たとえ読みにくかろうが、電子書籍が伸びるのは必然なのである。

出版社からの注文が減れば印刷工場は減少し、印刷コスト、製本コストも上昇し始める。先見の明のある大手印刷会社は、かつての富士フィルムのように一気にデジタルシフトを進め、紙の印刷を受け付けなくなるだろう。最終的に紙の本は嗜好品になっていく可能性が高い。

日本の大手自動車メーカーが推し進めるハイブリッド車の運命を決めるのも、技術力というより、利便性との兼ね合いだ。今はガソリンスタンドで給油するのに苦労をしないが、インフラの状況が変われば、好むと好まざるとにかかわらず、電気自動車を選ばざるをえなくなる。

そんな時代がいずれはやってくる。もちろん、自動車業界の人はみんなそのことをわかっている。「わかっちゃいるけど」と悠長に構えていると、大ヤケドをしかねない。
 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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