1つはテレビに関して。当時、テレビ事業の責任者がポスト・トリニトロンテレビの本命と推していたのが高温ポリシリコンLCDを用いたリアプロジェクションテレビ「グランドベガ」だった。「液晶やプラズマは画質がよくない。コスト面でも大画面化に耐えられるのはリアプロ」と説明していたものだ。
もう1つが「ネットMDウォークマン」だ。当時オーディオ部隊は、日本でしか浸透していないMD(ミニディスク)をなんとか欧米でも広めていこうと考えていた。そこで注目したのが、当時米国ではやっていた「パソコンを使ってCD-ROMに音楽データを大量に焼き付け、それを外出先で聴く」という音楽の楽しみ方だ。「CDよりMDのほうが小さい。今こそ海外でMD規格を普及させるチャンスだ」と事業責任者は語っていた。同じ時期、ハードディスクドライブを用いたアップルのiPodが市場に出ていたのだが、まだそこに踏み込む考えはなかった。
この記事は有料会員限定です
残り 1677文字
