木本:そうなんでしょうが、いろいろと想像してしまいますよね。家に帰ったら最悪とか。
新谷:いまの風潮として、不謹慎狩りが流行になっているのは怖いんです。鬼の首を取ったようになるのは嫌だし、そういうメディアにはなりたくない。けれど、そういうメディアだと思われがちなので、そこは気をつけています。
木本:何回も言いますが、いままで知らなかった世代も文春さんホントのことやっているんだとイメージ変わって、ロックオンしていると思うんです。これがもう1年続いたら、今までと違うステージに到達しそうですよね。今年になって、初めて手に取った読者も多いと思うんです。
スター記者軍団も積極的に露出させたい
新谷:でも正直、1年後の姿は明確には見えていません。私たちの想像を遥かに超えるスピードで周囲の状況が変化している。もちろんいい方向にですが。
ただ、ひとついえるのは誠に僣越ながら、2016年の文春のあり方が、今後のメディアの方向性になにがしかのヒントになればいいなとは思っています。その手応えはあるので。例えばテレビ、ネットとのコラボレーションみたいなことを積極的にやっています。いま「鷹の爪団」とも組んでいて、ラインライブというのをやっていて、文春君(ふみはるくん)というバズーカ砲を持ったキャラもできました。彼が登場するフラッシュアニメも作っていて、そこにはショショーンKというそっくりキャラも出てきたりします。いろんな幅広い読者にリーチして面白がってもらい、それをマネタイズする。その収益が新たなスクープの原資になる。
木本:若い読者層の取り込みにも積極的に取り組んでいるんですね。
新谷:文春の特派記者は50歳が定年です。フリーになった後を考えると、名前と顔を売るのは大事。だから文春の名刺でいろんな仕事をして、その後の活躍につなげてほしい。文春砲のスズキ記者も、張り込みがあるんで顔は出しませんが、テレビにも積極的に出演してくれています。
ひとりひとりが一芸に秀でたスター記者軍団を作って、記者にそれぞれ読者がつく。その集合体としての週刊文春という組織であれば強いと思う。今後は記者のマネジメントもデスクや編集長には必要になってくるでしょう。実際に出演依頼も多いので、それもコンテンツビジネスの一環です。
日々、新しい挑戦ばかりです。一歩ずつ前に出て、ダメだったらすぐに退けばいい。ネット上を含めて、新しい事業はトライ&エラーの繰り返しですよ。それほど初期投資がいるものでもないので。可能性を感じるものには思い切って戦力を投入してみるという繰り返しです。今は面白い時期ですし、チャンスだと思っています。
木本:いろんな舞台裏と、雑誌の将来について、いろいろと勉強になりました。ほんとうにありがとうございました。
(構成:高杉公秀 撮影:梅谷秀司)
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