新谷:それとはちょっと意味が違います。リミックスはそれ自体ひとつの作品ですが、まとめサイトはもろパクリですからね。わかりやすく面白く要約して書いただけ。自分の持つセンスで異質のモノを組み合わせることで、作品性、作家性が生まれてくるものではありません。
木本:もっとお手軽に作っているものだと。
新谷:もっとパクリだし、もっと要約、右から左です。
デジタルは紙のメディアを残すためにある
木本:デジタルにはいろんな未来がありそうで、楽しそうです。でも、その時代に雑誌の存在はどうなるんでしょうか? それもひとつの問題ですよね。
新谷:なぜ私がデジタルを頑張るかというと、紙の雑誌本体を守りたいと思っているからです。現実として、紙の雑誌は右肩下がりなのはいかんともしがたい事実。電車に乗れば7割の乗客がスマホを見ている。なかなかそこに割って入るのは、厳しい。
ただ座して死を待つようなことは一切考えていない。雑誌のクオリティは下げたくないし、むしろ上げていきたい。われわれのビジネスの生命線は、コンテンツのクオリティであり、それに対する読者からの信頼です。文春の記事は面白い、真実だ、価値がある。だからお金を払う意味がある。紙だけでは、読者は減ってきた、記者もちょっとずつ減る、取材費も下がる、そうするとどうしても記事のクオリティも下がる。
木本:いろんな雑誌が陥っている負のスパイラルですね。
新谷:それを避けるために、他からしっかりお金を入れる。クオリティを下げずに上げる。あるいはデジタルを使えばいろんな広がりで発信ができるので、トータルとしての週刊文春の価値を上げたいです。
木本:そういう考えかたで進めていくと。
新谷:紙で読む人、デジタルで読む人、読みたい記事だけバラで読む人。これからはいろんな読み方ができるようになる。つまり選べる時代であり、メディアは選ばれる時代になった。先日、テレビ局の偉い人と食事したんですが、「いまの大学生はテレビを見ないんですよ」と嘆く。なぜ見ないのかを彼が尋ねたら「だって、テレビって途中から始まるじゃん」と大学生が答えたと。
木本:ああ。いまの大学生ならそう言うでしょうね。
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