新谷:情報の送り手と受け手の力関係が圧倒的に変わりつつある。発想がぜんぜん違うんですよ。昔は、うちの番組を見たければ何曜日の何チャンネルに合わせろよと、上から目線でテレビが言えば視聴者はそうするしかなかった、いまは見たい時に見られないのはダメとなった。
木本:僕らが子どもの時代とは真逆なわけですね。
新谷:送り手と受け手の力関係が変わったことを理解しないと、この状況の変化には適応できないという認識を持っています。
コンテンツメーカーとして生き残る戦略とは?
木本:流通革命ということは、文春さんのようなコンテンツ力がある媒体はますますパワーを発揮できるのではないでしょうか?
新谷:確かに、そんなにうろたえる必要はないと考えています。コンテンツに力が無いとプラットホーム側に買い叩かれます。でもうちしか作れないオリジナルなコンテンツですよという自信があれば、プラットホームにも、うちのものを扱いたいならばこの値段でしかやりませんと強気で商売できるじゃないですか。
木本:コンテンツメーカーに価格決定権があるということですね。
新谷:生き残るためには、コンテンツを強化するしかない。そこはシンプルです。この対談でお話してきたことも、最後はすべてそこに直結します。
木本:雑誌そのものが、ある意味でいろいろなものをたくさん集めてきたキュレーションメディアですから、ネットとの親和性は高いんですよね。ひとつのパッケージの内に政治も、芸能も、文芸も入っている。
新谷:ネットの世界は雑多で玉石混淆ですから、何を信じればいいか、何が読む価値があって面白いか、分からない人も多い。となった時に、文春の看板の元に出てくるものは価値があるという信頼を得られれば、ネットでも闘えると思うんです。
木本:若い人たちにも確かに、今年に入ってからとくに、文春の記事はホントなんや、という信頼がものすごく上がっていると思うんです。
新谷:それは涙が出るくらい嬉しいです。
木本:世の中って数カ月で変わるんですね。
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