子供たちに大災害をどう伝えたらいいのか 参考になる米ダギーセンターでの取り組み
余震が続く中、被災地や避難所の子供たちがトイレ掃除や食事準備などのボランティア活動に積極的にかかわっている、とのニュースが流れている。自分たちも出来ることを、との思いで頑張っているのだろうが、非日常の不安感や恐怖心をどう克服しているのか気になるところだ。
特に小さな子供は災害をどう理解しているのだろう。そして大人はこの事態を子供にどう伝えたらいいのか――。結論からいえば、隠さず、うそをつかず、感情的にもならないよう、必要な時にはどんなことも話せる雰囲気を作っておくことが大切だ。世界に先駆けて子供のグリーフをサポートしてきたダギーセンターという組織がある。今回は、そこでの実践に裏付けされたアドバイスを紹介しよう。
グリーフを経験した子供たちの安全な場所
ダギーセンターは、1982年、米オレゴン州ポートランドに設立された非営利・無宗派の民間団体だ。ここでなされるのは個別のカウンセリングやセラピーではない。安全な場でのピアグループ活動であり、両親、兄弟、親しい友人を病気や事故、災害、自殺、他殺などで亡くした3歳から30歳超のヤングアダルトとその家族が死別の悲しみを共有する。
ファシリテーターは自身の感情コントロールや子供たちの感情を受け止める訓練を受けており、参加者は「話したくない時はパスしていい」「必ず大人と一緒にいる」「首から上を叩かない」「ここで知ったことはほかでは話さない」など8つのルールのもと、自分を表現し、同じ経験を持つほかのメンバーのフィードバックを受けながら、自己理解や他者理解を深めていく。
センター内には自分のペースで自身の感情と向き合えるさまざまなスペースがあるが、感情を存分に吐き出すことのできる「火山の部屋」は、壁や床がマットで保護された安全な部屋。ここではどれだけ叫んでも、サンドバッグを叩き人形を思い切り投げ飛ばしてもOKだ。
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