日本人が語らない「お金を稼ぐことは健康的」 出口氏と同性婚カップルが語る「現実」
出口:そうです。結局、どれだけ立派な政府ができても、その方針に合わない人は絶対出てきます。でも、もし世界がひとつになってしまったら、もうその人の逃げ場はなくなってしまう。
東:つまり、多様性がなくなってしまうのですね。
出口:そうです。だから世界連邦政府は絶対にできないし、作ってはいけない。人間の遠い祖先はもともと北の地域にいた動物です。寒いところにいた類人猿がアフリカに渡り、そこで生き残って、今のホモサピエンスが生まれた。「ホモモビリタス」という言葉があるように、人間は悪い環境から逃げ出すことで、生き残ってきました。いわば人間の自由とは、「逃げ出す自由」にほかならないのです。置かれた場所で咲ける人はそれでいいのですが、咲けなければ咲ける場所を探して逃げ出せばいい。そう僕は思っています。
東:そういう意味で、移動の自由と選択の自由も含めて、衣食住を賄うためにおカネを稼ぐ必要があると、出口さんははっきりこの本で書いてらっしゃいましたね。これを若者に、はっきり言ってくださる大人が少ないと私は思います。若い人の中には、「就職したら自分の自由の時間がなくなってしまう」「会社に馴染まないといけない」と思っている人がいるけど、それは違う。特に女性は、結婚してもDVの問題などで家庭の中でうまくいかなくなる可能性だってある。
出口:そのときは逃げ出せばいいんですよ。
東:そう! でもそれは、経済、つまりおカネがないと逃げ出せない。だから、女性が働いておカネを稼ぐことは、自由がなくなることではなくて、自由に選択ができるために必要なことなんです。そのことを若い人には本当に知ってもらいたいと思います。
出口:そうですね。だから僕は、自由とは、衣食住が賄えるおカネがあって、さらに足腰も強いことだと考えています。逃げようと思っても、歩けなければ逃げられませんから。ある程度のおカネを稼ぎ、健康をキープして、いざとなったらどこへでも移動できることがすごく大切な気がしています。
東:本当にそう思います。おカネは大事なんです。