しっかり貯金したいなら、家計簿に頼るな 「企業会計」で考えれば、簡単に仕分けできる

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家計簿をつけるのは何のため?(写真:Graphs / PIXTA)

3月も下旬に差しかかった。4月は新社会人、新入学などのほか、この時期に転勤で生活がガラリと変わる家庭も少なくないだろう。この機会におカネの管理をもっとしっかりやりたいと考える人もいるかもしれない。

筆者はファイナンシャルプランナー(FP)として多数の家計を見てきた。おカネを払ってFPにおカネの相談をするような人でも、家計簿をつけている人は決して多数派ではない。ざっくり3割程度といったところだろうか。

また、家計簿のつけ方も千差万別だが、共通していえることは家計簿を有効活用できている人はほとんどいないということだ。原因としては、家計管理は実はそうとう難しいということが挙げられる。FPが扱う分野として、住宅や保険などもあるが、家の買い方や保険の選び方よりも家計の管理のほうがよっぽど面倒で難しい。家族をひとつの経済単位として考えれば、それをうまく管理するには実は経営者的な知識が求められるからだ。

そんな視点から考えると、企業会計の発想は家計を管理するうえで極めて役に立つ。筆者は普段のアドバイスで家計を管理するために家計簿は必ずしもつけなくても良いと伝えている。家計簿をつけている人もそうでない人も、参考にしていただければと思う。

企業会計から考える家計の管理

企業会計と表現すると大袈裟で腰が引けてしまうかもしれないが、要するに簿記の知識だ。これを応用すると家計管理が驚くほど楽になる。簿記を勉強している人ならば、企業が利益を5段階に分けて計算していることはご存じかと思う。この考え方を覚えると家計の管理は非常にラクになるので手短に説明したい。

企業会計で基本となるのは、言うまでもなく売り上げ(売上高)だ。損益計算書のいちばん上に記載される数字であることから、「トップライン」とも呼ばれる。商品やサービスの販売など、企業の主たる営業活動によって得られた収益である。

その売り上げから原価を差し引いたものを「①売上高総利益」と呼ぶ(粗利とも言う)。原価は製造業なら製造コストが、小売業ならば仕入コストが該当する。

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