しっかり貯金したいなら、家計簿に頼るな 「企業会計」で考えれば、簡単に仕分けできる

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2つ目の利益はそこから販売管理費、略して販管費(はんかんひ)を差し引くと「②営業利益」になる。営業利益は「本業の利益」ともいう。販管費は家賃や光熱費、人件費などが該当する。

営業利益から経常収支を差し引きしたものが3つ目の利益である「③経常利益」となる。経常収支とは、利息の支払いや本業以外の費用・収益を考慮した数字となる。

さらに「経常利益」から突発的な利益・損失である特別損益を考慮すると「税引き前純利益」、そして税金を払った後の最終的な利益が「④税引き後純利益」となる。一般的に赤字・黒字と言われるのは税引き後の「⑤純利益(最終利益)」だが、これは家計で言えば貯金額となる。赤字ならば貯金の取り崩しだ。

さて、家計をここまで細かく計算する必要は無いが5つの利益という考え方は極めて有効だ。

家計の収支が毎月ブレる理由

「毎月10万円貯めよう」と考えても通常そのような貯め方はまずできない。毎月の給料はある程度は一定でも支出は一定ではないからだ。結果として家計がどのようになっているのかわからなくなってしまう。これは家計の収支を「⑤純利益」だけで計算するから発生してしまう問題だ。そこで、5段階ではなく2段階で家計の収支を考えてみたい。

家計の収支は収入から支出を差し引くだけだ。収入は当然給料で、共働きでも収入元は2つしかない。面倒な部分は支出の計算だが、計算の際には家計の支出を2種類に分けるといい。日常的な支出と日常的ではない支出だ。

日常的な支出は生きていくために必ず必要な支出、つまり「基本的な生活費」と考えればいい。すると以下のような項目になる。

・家賃(住宅ローン)・食費と雑費・光熱費・保育料(学費)

人によって持病がある人ならば治療費、加入している人は生命保険料なども含まれるだろう。これらの生活費を売り上げである給料から差し引くと、企業でいうところの「本業の利益(営業利益)」がわかる。食費と雑費が一緒になっているのは、スーパーで食品とティッシュや電球を一緒に購入すると切り分けが面倒だからだ。

レシートの中身まで細かく区分けする意味はほとんどないため、食費・雑費は合算していい。日常的な買い物は多くがスーパーやコンビニエンスストアで済んでしまうため、何か特別な買い物でなければすべて食費・雑費としてほとんど問題はない。

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