女子サッカー佐々木監督の「敗因」を考える 他人事でない「チームマネジメント」

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チームマネジメントをメンバー構成次第で変える必要があるのは、職場の仕事でも同様です。たとえば、取材した製造業の営業部長は(昨年まで)高い業績をあげ、部下からの人望も厚く羨望される存在でした。ちなみに部下の大半は付き合いが長く、仕事に対する熟練度も高い状態。ところが、今年になり、部下の半数以上が入れ替わり、若手社員が配属されると状況は一変。

「もっと細かく指示をしてくれないと何をすべきか、理解ができません」

と仕事に戸惑い、要望を出す部下が続出。ところが、営業部長はマネジメントスタイルを変えません。

「考えて行動すればいいだけだ。ここは学校ではない。これ以上の指示を期待するな」

と、つれない態度で突き放しました。すると、職場内でマネジメントに対する不満がくすぶるようになり、職場の雰囲気が悪くなりました。突き放されても「細かい指示がほしい」と要望を繰り返す部下に「うるさい」と叱り付ける場面が社内で別の部署も知ることになり、周囲は腫れ物を触るような態度になりました。

さらには昨年まで信頼関係があったはずの部下まで「今の営業部長のマネジメントにはついていけない」と離れていくようになり、業績はみるみるうちに下降。ついには営業部長が交代して、組織体制も一新されることになりました。

きっと、これまでマネジメントに固執することがなければ、ここまでの事態にはならなかったはずです。営業部長も大いに後悔しているのではないでしょうか。

自主性を大事にすることは経験豊富なメンバーにとってありがたいマネジメントです。ところが、若手メンバーには不満にしからならないことがあります。

若手は「放任」されても困る

マクロミル社の調査では、若手部下が転職を考えてしまう上司の特徴として「放任」が上位にランクインしています。任されても困る、細かい指示を受けて成長したい立場からすれば、そうしたマネジメントはマイナスでしかないのです。

場面によっては、自主性を尊重するのではなく、強制的にチームをリードすることが、正しいマネジメントである場合もあるのです。成功体験が変化の邪魔をすると言われますが、なでしこジャパンだけでなく、チームの構成は刻々と変化することを踏まえて、マネジメントを変える覚悟がリーダーには必要です。状況に応じてマネジメントスタイル変幻自在にできる引き出しいくつも持っておくことが、チームの勝利を継続させる鍵ではないでしょうか。


 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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