女子サッカー佐々木監督の「敗因」を考える 他人事でない「チームマネジメント」

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ただ、この佐々木監督のチームマネジメントで問題があったのはそれだけでしょうか。時計の針を巻き戻すと2011年ごろ、当時チームには選手の笑顔があふれていたように思います。楽しそうに駆け回り、自由でのびのびとした空気が笑顔を生み出していたのでしょう。佐々木氏は選手に対してリスペクトする姿勢を持っていました。それが選手の意見を徹底的に聞くスタンスとして表れていたと思います。ときには試合中に「ポジションを変えるべき」と意見してきた選手に対しても尊重する姿勢を見せるくらいだったのです。

「自分のプレーを信じて、仲間を信じて失敗を恐れることなく楽しんでもらいたい」

そうした「自主性重視」のチームマネジメントで選手はのびのびと戦い、勝利を重ねていきました(もちろん、稀有なリーダーシップを備えた澤選手がフィールドにいたことを忘れてはなりません)。

メンバー構成によってマネジメントは変わる

ただ、勝ち続けるチームのメンバー構成はその後、大きく変わることはありませんでした。ところが、リオ五輪をめざしたチームでは選手との亀裂が生じてチームが弱体化したとの意見が敗戦の理由としてメディアをにぎわしています。かつての佐々木氏のやり方が変わってしまったのでしょうか。

ちなみに五輪予選の先発メンバーの大半は、ワールドカップ優勝の経験がない若手・中堅選手。世代交代が進んでいないと言われていましたが、それでもチームメンバーの構成は変わってきていたのです。

そんな場合にチームマネジメントはどうすべきなのか? そもそも、チームマネジメントはメンバー構成によって変化すべきもの。たとえば、経験の浅い若手メンバーばかりの場合と、ベテランが中心の場合など、構成によってマネジメントを変えるのは当たり前です。

若手メンバーには率先垂範、ときには厳しい指導も必要です。一方でベテランメンバーであれば「君に任せる」との自主性が必要でしょう。まさになでしこジャパンはベテラン中心から若手メンバーへの移行期。主力選手はベテランながら若手選手を試し、育成しながらチームが戦わなければいけない状況になってきました。2011年とは大きく状況が違うのです。

ならば、マネジメントスタイルを大きく変えることを指揮官=リーダーは求められます。このマネジメントスタイルの変更によって、監督だけでなく選手たちが戸惑う状況になり、

≪目標達成に向けてメンバー一人ひとりが能力を発揮して、チームに「還元」する状態≫

になれなかったのではないでしょうか?

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