世界遺産で見る、宗教で栄えた国・滅びた国

神とカネによる王朝の興亡を読み解く!

イギリスの使節団は、交易品として、ゼンマイ式時計、オルゴール、小型銃、機械人形、機関車模型などを持って来ました。それらは、機械化を国策としているイギリス独自の技術力を示すモノでした。乾隆帝はこれらのモノを見て、「浅はかな工作人の思いつき」と笑ったようです。乾隆帝は、「お前たちの国には貧弱なモノしかない。われわれが欲するモノは何ひとつない」と言って、イギリス人を追い返しました。

なぜ、中国は変革できなかったのか

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当時の乾隆帝をはじめとする中国の支配者層は儒教的な世界観を強く有し、君臣序列の礼を国際関係にも当てはめました。大国の中国は諸外国を従属させ、世界秩序の中心とならなければならないとする中華思想を持っていたのです。

中華思想に取りつかれていた中国の支配者層は、イギリスが発明した銃や産業機械の有用性を正しく理解できず、小ざかしいとさえ考えました。イギリスの科学史家ジョゼフ・ニーダムは大著『中国の科学と文明』の中で、中国人が発明した火薬を、中国人自身が銃や大砲として、実用化できなかったのは、技術革新という新規なものに対する潜在的な不信感があったからだ、と述べています。

儒教的な因習や伝統に固執する中国人にとって、新しいものは伝統基盤を破壊する忌避すべきものと映ったのです。乾隆帝は献上されたイギリス製品の価値を理解できなかったのではなく、理解したくなかったのでしょう。

儒教的な中華思想が、中国の変革へのチャンスを奪い、衰退への道を決定的にし、その後、欧米列強に支配される原因となります。紫禁城の奥深くに住み、「紫微垣(動かぬ天)」と崇められた皇帝は儒教秩序に固執し、世界の鄒勢を見極めることができなかったのです。
 

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