世界遺産で見る、宗教で栄えた国・滅びた国 神とカネによる王朝の興亡を読み解く!
世界各地の世界遺産。「なぜ、この時代に、このようなものを作ったのか?」 われわれはそのスケールに圧倒されるとともに、遥かな時空の彼方に誘なわれます。
それら遺跡は、当時の政治や権力者たちの事情以上に「宗教」と「経済」が密接に絡み合い時代を動かす「象徴」でもありました。
『経済を読み解くための宗教史』(KADOKAWA)の著者で、予備校世界史科講師・宇山卓栄氏から、世界の観光地としても名高いエジプトのピラミッド、カンボジアのアンコール遺跡、中国の紫禁城にまつわる歴史の新事実について教えてもらいましょう。
①ピラミッド ~精神とカネの豊かさを与える
エジプトのカイロ郊外にあるギザの三大ピラミッドとスフィンクスは、数ある世界遺産の中でも、最も古く、最も謎に包まれた遺跡です。ピラミッドは、紀元前2500年代頃に、クフ王をはじめ、三人の王によって、それぞれ、20年かけて建設されました。
3つのピラミッドのうち、最大のピラミッドであるクフ王のピラミッドは底辺の一辺が約230m、高さ約137m(40階建ての高層ビルに相当)。平均2.5tの石を230万個積み上げ、10万人を、20年間、使役させたと言われています。
今から、4500年以上も前に、なぜ、巨大ピラミッドは作られたのでしょうか。
古代の不平等
紀元前2500年代、気候に恵まれ、収穫が上がり、王朝は栄えました。しかし、食糧資源の余剰は、民衆の隅々にまで行き渡ることなく、豪族や地主など富裕層のみが独占していました。富の偏りは、王などの為政者にとって、頭の痛い問題でした。格差を放置しておくと、困窮した民衆が反乱を起こす可能性があるからです。
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