意外と知らない、イスラム教の「カネ問題」 日本人が見落としがちな「2つの視点」
パリ同時多発テロは、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が行ったものとされます。「イスラム国(IS)」は犯行声明で「8人の兄弟たちが十字軍フランスに聖なる攻撃」を実行したと述べました。
このような事件が起きると、宗教に縁遠い多くの日本人は、宗教の対立が紛争を引き起こしているのでは、と考えがちです。
しかし、ニュースでもたびたび報道されているように、「イスラム国(IS)」のやっていることは、宗教の名を借りた暴力行為に過ぎず、本質的にイスラム教とはなにも関係がありません。
カネを払えば許す
もともとイスラムは「譲渡」という意味で、商取引の用語に由来しています。神に自分のすべてを「譲渡」し、絶対的に帰依するということから、神との契約や約束を意味するものとなりました。
イスラム教は寛容な宗教です。「イスラム国(IS)」の掲げるような過激思想は本来、イスラム教にはありません。
イスラム教の開祖ムハンマド(570年頃 - 632年)の時代には、キリスト教徒やユダヤ教徒を「啓典の民」として尊重し、敵視することはありませんでした。啓典とはユダヤ教の聖典の『旧約聖書』や、キリスト教の聖典の『新約聖書』のことです。
これらの異教徒は税金さえ払えば、イスラム社会での共存が許されました。イスラムの聖典『コーラン』には以下の様な記述があります。
「啓典を授けられた者たちで、アッラーも最後の日も信じず、アッラーと彼の使徒が禁じられたものを信じず、真理の宗教を受け入れられない者たちとは、彼らが卑しめられて手ずからジズヤ(税)を支払うまで戦え」(『コーラン』9章29節)
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