「子どもの潜在力を引き出す親」はここが違う やる気を出させる秘訣は環境のデザイン

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白水:そういうことです。2つ目は、自分で試して試行錯誤しながら学ぶ力を子供は持っているという話です。電磁石を幼稚園児に渡して、これで遊んでみてと頼むと、いろいろ試行錯誤しながら、それぞれの子供なりに電磁石の仕組みについて学ぶ。こういうのは一見好奇心が旺盛な子供だけの才能のように見えるかもしれません。しかし、ポテンシャルとしては、私達全員、万人に、備わっているものです。だからこそ、親が動機付けをして引き出してあげてほしいということです。

加藤:学ぶ力が乏しいように見える子でも、本来は全員に備わっているはずのもの、ということでしょうか。

白水:そうです。全員です。学ぶ力が見えないとすれば、それは、学びを阻害する外的要因があるからです。いくつかありますが、どんな落とし穴に気を付けないといけないかというと、典型的なのは外発的な報酬の与え方の間違いです。ここに注意しないと、逆に内発的な興味や関心が落ちてしまいます。これが3つ目の話です。子供は絵が好きな子が多いですが、幼稚園に押しかけて、「絵を描いたらご褒美をあげる」と首から掛ける紙のメダルをあげたんですね。すると、園児は粗製乱造に走って、一気に描く量が増えたのですが、その実験者が引き上げると、前より描かなくなったのです。僕たちが絵を描いていたのは、メダルのためだったのか、って。

これは結構、現実でもある話かもしれません。子供が学校のテストで100点を取ったとしますよね。100点のテストを親に見せようとするじゃないですか。その時に親はどうするかというと「100点取って偉かったね」とか「じゃあご褒美はこうしようね」って褒めていたりするのです。「もっと勉強して次も100点取ろうね」なんて激励することもあるでしょう。

逆にもし点数が悪かったら、怒る人もいますよね。下手な評価をしてしまうと、子供はもしかして勉強が好きでやっていたかもしれないのに、「点数しか見ないんだな」と子供たちの学ぶこと自体へのモチベーションが下がってしまうことに繋がります。

子供はもしかして算数を楽しくやっていたかもしれないのに、中身の話をしないで外発的報酬で扱うと、その気持ちは損なわれてしまう。

加藤:褒め方ひとつでも、親の言い方の焦点がずれるだけで、子供のモチベーションが簡単にさがってしまう、ということですね。だとすると、それはとても勿体無いことをしていますよね。

白水:そうなんです。感覚遮断の実験で見るように人がもともと興味を外界に持つこと、そして電磁石の実験に見るようにその興味がうまい対象に水路づけられると勝手にいろいろ試しながら学ぶ力が全員にあること、それがピントのずれた褒められ方をすると急にやる気をなくすこと。3つの話から言いたいことは、人はうまく学習環境が整えられたときに、その潜在的な学ぶ力を発揮して存分に学ぶということです。親はこの点を踏まえて子供に接するといいと考えています。

子供をどう褒めたらいいのか

加藤:親からの褒め方についてもう少し教えて下さい。100点答案を見せられたら、「100点取って偉かったね」と言ってしまう親が大半だと思うんです。それが内発的な学ぶ動機づけを奪ってしまうというのはもったいないですよね。褒めるにはどうすればいいのでしょう。

白水:やはり子供が褒めてほしいところを褒める、シンプルですが、それに尽きます。勉強を例にとって説明すると、子供が中身を理解していたら難易度やそれをクリアしたことの成長に着目して褒めてあげる。発展問題を出しながら、“あなたはどう考えたの?”と子供とコミュニケーションを行いながら、面白いアイデアや効率的な解法などより高次元なところにフォーカスを当てるのもいいでしょう。100点という結果だけに注目するのではなくて、取り組んでいる中身や、子供の取り組み方そのものに気を配ってあげることです。

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