加藤:褒めてもらいたいところが子どもにはあって、そこを気持ちよく突いてくれるということですね。サブカルチャー以外でも、親がそういうことをできればいちばんよさそうなものですが。
白水:まさにそのとおりなのです。褒めてもらいたいところも理解してもらえないことに不満を抱えている子どもは、モチベーションも上がらないし、必然的にテストの成績が下がっちゃうじゃないですか。そんな状態で親から怒られたりすると、「テストなんて私が好きでやっているわけではない」とヘソを曲げてマイナスのループが回りだすのも無理からぬことでしょう。そういう原因もあってサブカルチャー全盛の日本の現状があるのかなと思います。
加藤:サブカルチャーの話題での子供への接し方を、それ以外の話題でも模倣するといいのかもしれませんね。
「ロングテール学習」が始まっている
白水:そうですね。たとえば、シンガポールの一部の学校は「ロングテール学習」というのを本気で始めています。「ロングテール現象」は経営学的な用語ですが、既存の店舗販売だと、店の売り上げの8割を2割のヒット商品が稼ぎ出すのに対して、ネットだとニッチな商品の合計販売額がヒット商品のそれを上回るという現象のことです。
加藤:Amazonの品ぞろえも、そのロングテールで稼ぐことがはっきり見えますね。
白水:だから、教育の世界でも国数社理英の5教科の“ヒット”商品以外にも一人ひとりの子供が興味を持つジャンルがあるはずで、その家庭科の調理実習やギャンブル、考古学、恐竜の興味を学びに使う。けれどそれを全部おさえられる先生はいないので保護者と地域の大人に「得意なこと」を登録してもらって教室に来てもらって、得意がマッチした大人と子供でグループになって学ぶ。お勧めのサイトを紹介したりですね。先生はその様子を背後から見ながら、あ、この子、好きな内容ならこんな風に読めるんだと評価する、という実践です。
知は単一の軸ではなく、多様性のあるものです。社会には色んな領域、色んなやり方で才能を発揮している人が居ますよね。これからの教育制度も、親からの接し方も、たくさんの大人がたくさんの子供と関わりあって、そういった多様性を引き出すものでありたいですね。
その先に、子育てでいちばん大事な「子供も一個の人格を持った存在なんだ」「子供は私と違うんだ」という気づきが生まれてくるのではないでしょうか。
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