加藤:集中がずっと続くようになったねとか、この問題、何度も間違って時間もかけたけど諦めず解いたねとか、子供の取り組み方に着目するのもいいかもしれませんね。
白水:そうです。中身ですね。あとは、親もヒントを出して一緒に考えたいというのはあるのですが、あまりヒントを出しすぎたり、答えを出したりするのはよくないという研究もあります。極端なほめすぎよくないというのも言われています。誰もが経験のあることだと思うのですが、普通にできることを大袈裟に褒められても嬉しくないってことありますよね。あれと一緒で子供もできて当たり前になってしまっていることについて褒められると、それこそ褒めて欲しいところをわかっていないなと感じるわけです。
親がコンテンツに強くなれ
加藤:褒め方以外にも、子どものモチベーションを下げないために親ができる工夫はあるでしょうか。
白水:表面に見える褒め方よりも本質的なところで、親がコンテンツに強いかどうかは重要ですね。「コンテンツ」を「勉強」と置き換えて考えるとわかりやすいのですが、親がコンテンツに強くないと、子どもの褒めて欲しいところを的確に捉えたフィードバックはできないはずなんです。
加藤さんのようなお仕事をされている場合は、親の好きなトピックや、よく知っていることを聞いてみてもいいかもしれません。親の専門分野というか、すでに好きで強いコンテンツを探してみるのです。そのコンテンツのことから子供にフィードバックする練習をしてもらうように説明すれば、“こういうフィードバックができるのがいいんだ”と親もわかると思います。
加藤:褒め方でなく、その内容の質も大事で、そのために親がコンテンツに強い必要があると。でもそうすると、親が子どもと話すにはその分野の知識や要点を、子供以上に持っている必要がある、となるのでしょうか。
白水:必ずしもその必要はありません。たとえば算数だったら、中学・高校になったらどんどんレベルアップしていきますよね。で、本当に才能を発揮する子はそれこそ算数オリンピックレベルの領域に入っていく。これは極端なケースですが、子供自身が好きなトピックでは親のレベルを超えるほど詳しくなったり、難しいことができるようになったりするのは教育の醍醐味ですよね。
親が自分の得意なコンテンツだから、質の高いフィードバックをしてあげられなくても、今度はそういうフィードバックを受けられる環境を整えてあげるといいんですよね。専門外のトピックであっても、この話だったら大学生のお兄ちゃんと話してもらうのがいいなとか、ほかの大人と話す場を作ってあげたらいいんだとか、いかようにでも方法は存在していて、そういう「子供の周りに自分の代わりができるほかの大人とか先輩を置くように環境を整える」ということの必要性に気づけばいいんです。親自身の世界も広がります。
子どものモチベーションや、知的発達を支えるにあたって、この2つがとても大事な点です。
加藤:なるほど。親自身が詳しいトピックで質的にしっかりしたフィードバックをする、専門外のトピックでも、詳しい人と話す機会を提供してあげる、と。
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