論文を書いているだけでは世の中は変わらない
加藤エルテス 聡志(以下、加藤):石山さんはリクルートで人工知能の研究と活用を推進されているのですよね。
石山洸(以下、石山):はい。リクルートAI研究所の責任者を少し前までやっておりましたが、昨年11月にグーグル・リサーチ出身で人工知能とデータマネジメントのAlon Halevyさんを採用してからは彼をサポートする立場にいます。このAI研究所が新しく作ったRIT(Recruit Institute of Technology)推進室の責任者をしながら、Alon Halevyさんの研究内容をリクルートのビジネスに接続していく役割と、2015年11月に設立した米国拠点の企画と統括を担当する役割を果たしています。
加藤:アカデミアとビジネスの結節点となる役割ですね。石山さんがこうした立場になられた経緯を教えていただけますか。
石山:大学生の時は、修士の時に2年で論文18本を書くぐらい、アカデミックな人間でした。そのまま学問研究の道に残る予定だったのですが、論文18本を書いて、「論文を書いているだけでは世の中は変わらない」と気づきました。社会科学に人工知能的なものを導入する研究をしていたのですが、論文として発表するよりも、社会に接点のある会社に人工知能をそのまま導入していったほうが早くてインパクトが大きいのではないかと思って。インパクトを出すなら、社会接点が大きい会社がいいと思ってリクルートを選んだのがきっかけです。
入社してからはホットペッパーの営業から初めて、リクルートと外部の投資家でJV(ジョイント・ベンチャー)を作ってバイアウトしたり、本当に多様なビジネス経験をさせてもらいました。
アカデミックにどっぷり使っていたので、この時の経験はとても新鮮でした。予定ではもっと早く研究所が出来るはずだったのですよ。その意味では苦節の10年でしたが、この時の経験があったからこそ今があると思いますね。
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