白水:RISUのお客さんのコミュニティがあるなら、こういう風に子どもの興味対象はあっちこっちに行きながら育っていくのだということを、親に話してあげると面白いかもしれませんね。
褒められないサブカルチャーに子供がハマる
加藤:興味対象があっちこっちにいきながら育っていくという話ですが、RISUでそれを調べたことがありました。自分の好きな領域で活躍していて、社会的にも成功している人を集めて子供時代にどういう本にハマっていたかって話してもらったのです。そうしたら、漫画の『ドラゴンボール』は出るは、雑誌の『Newton』は出るは、『JR時刻表』は出るは、いわゆる児童書とかおすすめ本みたいなのが全然出てこないんですよ。マンガはほかにも『寄生獣』や『三国志』、『ジョジョの奇妙な冒険』や『あさきゆめみし』など、熱中した本としてマンガがよくあがりました。
白水:それは面白いですね。さっきお話した感覚遮断の話からわかるように、何かを知覚して学びたいという内発的な動機づけが人間にはあって、そのモチベーションはどこかに向かいたくなるワケです。それで、もし子供が理科の実験が面白くてその学期末のテストで100点を持って帰ってきたときに、親が点数を褒めるとどうなるか? あ、実験じゃなくて点数が大事なのか、となりますよね。一回では崩れないかもしれませんけど、それを繰り返してだんだんやる気をなくしていく。でも子供が根源的に持つモチベーションは残っている。それがもしマンガやサブカルチャーに向かうと、サブカルチャーは親から褒められたりしないので、本人の内発的な動機付けは外発的報酬で損なわれたりしない。つまりは知りたいとかやりたいというモチベーションが、親の余計なー言で損なわれるような問題が起こらないのです。
加藤:サブカルチャーは親から褒められないカテゴリーだから、モチベーションが下がるような介入からフリーだと。なんだか親の思惑とは随分逆に動きますね(笑)。
白水:そのとおりです。親が介入しないとなると、子供は自発的にそれこそ積極的に同じ分野に興味を持つ人を探します。学校や塾のコミュニティとか、今だったらネットもあるし、簡単にそういう人は探せますから。そうして見つけた人たちは、「ここがいいね」とか「これ知ってる?」とか「この次、こういうのを見てみたら」といってモチベーションが上がる話をしてくれるワケです。誰もお小遣いもくれませんが、親にされるような方向違いの褒め方なんかもされません。だから、自分が本当に好きでやっていることの「質」に対して評価してもらえるので、興味のある分野にどんどんのめりこんでいくわけです。
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