突如昆虫型生命体、フォーミックの侵攻を受けた未来の人類は、敵の2次侵攻に備え、世界中から頭脳明晰な子供たちを徴兵し、地球軌道上に設置された訓練施設“バトル・スクール”でエリート戦士としての養成を行っていた。中でも少年エンダーは、この宇宙戦争を終結させられる特殊能力を秘めた者として、監督官であるグラッフ大佐(ハリソン・フォード!)の下、過酷な試練を課せられていく……。
侵攻してきた敵とはいえ、戦争での殺し合いに強い疑念を抱き葛藤しながらもエンダーは、遂に指揮官となり最終バトルシュミレーションに挑む。そんな苦悩する少年指揮官役を(最高のハマり役として)見事に演じきったのは、近年作では(たかみにとって)最高評価の『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)でも完璧な演技で魅せてくれたエイサ・バターフィールド。うまい子役が多い映画界でも、すでに抜きんでた名優といえる。
本作が『エヴァンゲリオン』と似ているという指摘(逆デス!)は、原作の発表年を知らない若い方なのだろう。また、例によって、原作ファンからの「小説に比べると物足りない」との批判もあるが、ぼくは元々映像に向いたSF小説だと思っていたので、むしろ(VFXがすごい)映画の方が楽しめたくらいだ。そして原作を読んだことのない方なら、ストレートに本作のオチを楽しめるはずだ。
とはいえ、鑑賞後ぜひ優れた原作と読み比べてみてほしい。オースン・スコット・カードのほかの作品、たとえば短編集『無伴奏ソナタ』と長編『ソングマスター』なども強くおススメしたいSF小説だ。もし『ソングマスター』が映画化されたら、『エンダーのゲーム』以上の傑作となるに違いない。
(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー、『モノ・マガジン』2014年7月16日号掲載記事を一部加筆・修正)
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