独り勝ち・『ゼクシィ』商法の光と影 今や強者の驕りも垣間見え…
ネットの「ゼクシィnet」や、相談カウンター「ゼクシィなび」との連携だ。ゼクシィを読んだゲストをゼクシィnetへ誘い、そこで迷うカップルは、エージェントによるカウンセリングが受けられるゼクシィなびへ誘導する。企業にとっては、集客効果に陰りの見えた情報誌への広告を削減しようとしても、ゼクシィの営業部隊からnet、なびとの契約を迫られる。結局ゼクシィにカネを吸い上げられるシステムが作られつつある。
だが中長期的に人口減の続く国内で、ブライダル市場の置かれた状況は決して明るくない。11年の婚姻件数は約67万組で、72年の110万組をピークに一貫して減っている(厚生労働省の人口動態統計)。さらにはゲストを多数招いて行う、結婚式と披露宴の実施率も年々減少。今やカップルの半数近くが結婚式を挙げていないという。両親に経済的余裕がないことに加え、2人だけの海外挙式や親戚のみを集める食事会が増えたり、入籍だけで済ます“なし婚”も珍しくない。
ハウスウエディングのブームで一時潤ったのは限られた者たちだった。ブライダル業界とゼクシィに共通する目標は、結婚式と披露宴のマーケットを広げることのはず。結婚周辺市場は現在約4兆円。今後もパイが伸びる保証のない中、広告料だけが高止まりするのは、やはりいびつな構造だ。健全な業界発展のため、ゼクシィのビジネスモデルは今、根本的な転換を迫られているのではないか。
やなぎ・のぶゆき
1982年からJALホテルズで支配人等を歴任。99年ベストブライダル入社。横浜等で大型ゲストハウスの総支配人を務め2006年に独立。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら