独り勝ち・『ゼクシィ』商法の光と影 今や強者の驕りも垣間見え…
ブライダル専門企業がゼクシィに大量広告を出すのは、広告料の多い順で誌面に掲載されるからだ。ハウスウエディングが広まったことで、各社は出稿競争を繰り広げていった。ゲストハウスはゼクシィ広告での集客がすべてだから、10ページ単位で大量に広告を出し続けるしか、ほかに方法がない。これがゼクシィの売上高を500億円規模にまで育てた原動力といえるだろう。
01年に首都圏で婚姻届が年15万件出されていた当時、ゼクシィ首都圏版は毎月7万部を売りさばいていた。多くの広告を収載したゼクシィはどんどん分厚くなり、今年7月23日に発売されたゼクシィ9月号(首都圏版)は、重量4キログラム以上でとても持ち歩けないほど(だから彼氏に持ち帰らせる作戦?)。この重さこそ、「ゼクシィに広告を出さなければ」という業界の依存度の証明。ゼクシィが登場するまで、ブライダル業界には集客のための広告など存在しなかったのに、だ。
無敵ゼクシィにも陰りが 婚姻件数減という宿命
ただ、月28・8万部を誇り、絶好調ゼクシィにも変化の兆しがうかがえる。リクルートの12年3月期決算では、対前年比プラスを維持してきた結婚事業の売上高が488億円と、前々期の504億円からマイナスに転じた。これはイコール、ゼクシィの広告減少と取れる。
現にブライダル専門の企業にとって広告料は高い。ある上場会社では、売上高の417億円に対し広告宣伝費は21億円と、対売上高比率で5%も占めた。給与および手当の15億円をも大きく上回った。
もっとも最近では、情報誌を買わずにインターネットで、結婚式場を決めるカップルも増えている。ゼクシィへの広告で予算を達成できたブライダル業界も、最近ようやく、情報誌だけでは満足する集客ができない、と感じ始めているようだ。
もちろんこうした事態に、ゼクシィも新戦略を打ち出した。