SNSはカネにならない、狙うは垂直モデル リクルートのネット戦略
情報誌からネットに軸足を移した現在。リクルートの歴史で振り返りたくない、大失敗の案件がある。1999年に始動した「ISIZE(イサイズ)」だ。
時はポータル(玄関)サイトの乱立時代。ISIZEも、ヤフーやインフォシーク、ビッグローブなどと主導権争いを演じたが、ほとんど健闘できないままに終始した。国内ではヤフーが多数派を占め、世界では今やグーグルが覇権を握る。
とはいえ、リクルートも派手な話題こそないが、既存のメディアではそれぞれネット化を進めてきた。『リクナビ』や『じゃらんネット』は、その典型といえよう。実際に売上高に占めるネット・モバイル比率は、2002年3月期の12%から、前期は46・7%まで拡大。その反面、有料誌などは84・1%から29・3%まで、大幅に落ちている。
なぜISIZEがブレークできなかったのか。
ISIZEの場合、バラバラに展開していたネット上のメディアを横串で刺し、一気にブランドとして売り出す狙いもあった。が、1つの事業をバーティカル(垂直)に掘り起こすのは得意だが、「部門間の横の連携となるとまるで弱い」(リクルートOB)のが、リクルートのカルチャー。そこをまとめようとしたのがそもそも無理だった。
競合プレーヤーの数も、紙の時代とは比較にならないほど多い。かつてリクルートはテレビなどマス広告に対し、ターゲットを絞った情報誌ですみ分けてきた。企業に広告枠を売り込む営業部隊も貴重な戦力だった。それがネットの時代では、さらに市場が細分化されたうえ、人員を抱えない身軽なベンチャーでひしめき合っている。